シグニスジャパン(SIGNIS JAPAN=カトリックメディア協議会、会長:土屋至)は15日、2021年度の「日本カトリック映画賞」を、和島香太郎(わじま・こうたろう)監督の映画『梅切らぬバカ』(配給:ハピ ネットファントム・スタジオ)に決定したことを発表した。
「日本カトリック映画賞」は、前の年の 12月から次の年の 11 月までに日本国内で制作・公開された映画の中からカトリックの世界観と価値観にもっとも適(かな)う作品を選んで 贈られるもので、今年で 46回目を迎える。近年では、『この世界の片隅に』(片渕須直監督)、『ボケますから、よろしくお願いします。』(信友直子監督)、『こどもしょくどう』(日向寺太郎監督)、『コンプリシティ/優しい共犯』(近浦啓)などに贈られてきた。
今年度の受賞作『梅切らぬバカ』は、50 歳を迎えようとする⾃閉症の息⼦を持つ⺟親が、社会の中で生きていく様を温かく誠実に描いたもの。主演の母親を演じるのは、54年ぶりの主演となる加賀まりこ。息子役にはNHK連続テレビ小説「おちょやん」など俳優としても活躍中のお笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅が務めている。地域コミュニティとの不和や偏見といった問題を取り入れながらも、親子の絆と深い愛があたたかな感動をもたらす。
今回の選考にあたっては、「このコロナの時代にあ って映画に何ができるのか、映画賞選定することにどんな意味があるのか?」という思いと、「人を遠ざけるこんな時代だからこそ観たい“人と人をつなぐ” 映画があるはず」という思いがあったという。映画『梅切らぬバカ』は、そんな葛藤の中で出会った作品だったと話し、受賞理由を次のように明かす。
老いてゆく母親と自閉症の息子そして隣人たちの物語。は じめは、親子に「関わるつもりはないから」と言っていた隣人がいつしか「ともだち」 になっていきます。「関わるつもりはない」人と「ともだち」になる。これこそが、生きづらいこの世界を生きていく「ちから」になり得ることをこの映画は見事に描いてい ます。今の世界に必要なのは血縁でもなく、福祉でもなく、人間が助け合う基本構造としての「ともだち」であることを伝える優れた作品として評価されました。
シグニスジャパンは、放送、映画、視聴覚メディアに携わるカトリックの国際的な団体であるSIGNIS(世界 カトリックメディア協議会=本部・ブリュッセル)の日本組織。映画、TV・ラジオ、インターネットなど様々なメディアを通して福音を宣べ伝える活動をしており、この日本カトリック映画賞は1976年から始まった。また、2003年からは毎年2回ずつ、「インターネットが拓く新・福音宣教」をテーマとするセミナーも開催してる。