今日4月13日は喫茶店の日です。鹿鳴館が開いて5年後の1888年のこの日、東京・上野に日本初の本格的なコーヒー喫茶店「可否茶館(かひいさかん)」が開店したことにちなみます。
ワインバーグ、ビーラー『カフェイン大全』(八坂書房)には、旧約聖書にすでにコーヒーが登場しているという説が紹介されています。
夫の非礼をわびるため、ナバルの妻アビガイルがダビデに贈った品の一つ「炒り麦五セア」(サムエル上25:18)がコーヒーだと、ドイツの神学者ゲオルグ・パスキウスが『古代以降の新発見』という論文に書いています。また、エサウが長子の権利を譲るかわりに求めた「赤いもの(アドム)」(創世記25:30)や、ボアズがルツに与えた「炒り麦」(ルツ2:14)がコーヒーと同じものだと、スイスの牧師ピエール・エティエンヌ・ルイ・デュモンが述べているといいます。
コーヒー発見のキリスト教説は次のとおり。
ヤギが野生の赤い木の実を食べて興奮し、飛び跳(は)ねるのに気づいたヤギ飼いのカルディーが、近所の修道士に相談しました。そこで一緒にその実を食べたところ、全身に精気がみなぎってくるではありませんか。修道院でも勧めてみると、厳しい修道生活の疲れと睡魔から修道士たちを解放したといいます。この説が最初に紹介されたのは、レバノンの言語学者ファウスト・ナイロニの『コーヒー論──その特質と効用』(1671年)にある「眠りを知らない修道院」のエピソードです。
ローマ教皇クレメンス8世が1600年、コーヒーに洗礼を授けたという話も有名です。16世紀後半には、コーヒーがトルコからヨーロッパに伝わりますが、コーヒーはイスラム教徒による「悪魔の飲み物」だとする人々もいたので、教皇が味見をしたところ、その味と香りに魅せられます。そこでコーヒーを祝福して、キリスト教徒がコーヒーを飲むことを公認したというものです。
バッハの「コーヒー・カンタータ」(1732~34年)は、コーヒー好きの娘と反対論者の父親が繰り広げる喜劇。