なぜ迫害されているクリスチャンよりペットを心配するのか

 

メディアではほとんど触れられていないが、毎月1000人以上が、教会や家を破壊されるなど、信仰によって命を奪われたり、危害を加えられたりしている。これほどのクリスチャンへの迫害は歴史上いまだかつてない。

ジョニー・ムーア氏(自身のフェイスブックより)

牧師であり作家であるジョニー・ムーア氏は『殉教者の証言──キリストのために命をかけて生きる』で、日々迫害の中で生きている人々の証しを綴(つづ)っている。

「イラクではクリスチャンの80%、シリアでは50%が殺害されていることを人々は知らないのではないでしょうか」とムーア氏は強調する。2016年にはおよそ60万人のクリスチャンが迫害を受けたという統計からも明らかなように、迫害は増大している。そして、これらはほとんどイスラム系テロリストによってもたらされたものだ。

インドのキリスト教神学校の卒業式に彼が出席した時、2000人ほどの神学生がこう誓ったという。「たとえ死の淵(ふち)にあろうとも、あなたを否定しません。恐れません。私の信仰によって命に関わる危険が伴います。しかし、キリストについて行きます。たとえ最期の時が訪れようとも」。このとき彼はこう痛感したという。「いっこうに衰える気配のない迫害の実情を、先頭に立ってキリスト教界に伝えなければ。それは人生を変えるような重い経験でした」と。

彼らの衝撃的な証しによって、迫害される教会を支える世界各地の団体と共に彼は働き始めた。彼の願いは、遠い国の出来事としか認識できない西洋のクリスチャンを奮い立たせることだ。「山上の説教に生きましょう。私たちは隣人を赦(ゆる)そうと努力しているが、彼らは残虐者を赦そうとしています。我々は十一献金を熱心にささげているが、彼らは全財産を使って兄弟姉妹を助けています」

「私はイラクの女性修道士のことを忘れることができません。彼女はこう言いました。『あなたたち西洋のクリスチャンの皆さんは、ペットの世話に熱心ですが、我々のことについてはどうですか。我々に降りかかっている大量殺戮(さつりく)に対して、なぜ黙っているのですか。我々は忘れられているように感じます』」

ペットへの投資は世界的に増大している。ブラジルでも、毎月平均300レアル(約9000円)が愛犬に、そして120レアル(約3600円)が愛猫に使われている。最新の調査によると、2017年のペット市場の規模は192億レアル(約5760億円)に達する。イラク人修道士の発言は実に的を射ている。

「西洋のクリスチャンに自分を見つめ直してもらうために本を出版することに決めました」とムーア氏は話す。「最近、クリスチャンになり、迫害にさらされているイラク人家族がいます。彼らはこう話します。『死ぬのは怖くない。でも、多くのクリスチャンと同じように十字架にはかかりたくない。キリストと同じ方法で死ぬのは畏(おそ)れ多いから」

奇跡的に解放され、迫害者に証しができ、中には死を前にしても動じないクリスチャンの姿に感銘を受けて救われる人もいるという話を、彼は取材中に聞くことがある。

「迫害されている教会のメンバーとの出会いは、自分の信仰を見つめ直す良い機会です。新約聖書には迫害に関する記事が多くあり、キリストご自身もその教えによって殺されました。我々は迫害されている彼らから多くを学ぶことができます。

我々クリスチャンははっきりとした立場が求められているのではないでしょうか。彼らイスラム教ジハーディスタ(殉教者)とは違い、我々クリスチャン殉教者はすでに天国が保証されています。だからこそ、キリストの愛を世界中で分かち合いたいと思うのです」

本記事はブラジルのキリスト教メディア「ゴスペル・プライム」に掲載された「クリスチャニティー・トゥデイ」「CBNニュース」の転載記事(抄訳)より翻訳しました。

出典URL:https://noticias.gospelprime.com.br/por-que-nos-preocupamos-mais-com-pets-que-com-os-cristaos-perseguidos/

吉田暁

吉田暁

(よしだ・さとし)1971年、兵庫県西宮市生まれ、静岡県浜松市育ち。大阪府堺市在住。10代の頃、2年ほどブラジルに滞在する。現在、キリスト教式散骨事業を行う「海洋散骨シャロームセレモニー」代表および全国通訳案内士(ポルトガル語)。チャペル・こひつじ会員。

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