去る6月13日から16日にわたり広島にて開催された第6回「9条世界宗教者会議」は、ちょうどシンガポールで米朝首脳会談のあった日に行われた。ともかくも敵対関係にあった米国と北朝鮮により、和平のための会議が初めて行われたことは喜ばしいことであった。
第二次世界大戦後の国際的体制は、イデオロギーによる軍事的対立と、資本主義を標榜する国家間の互恵的な経済関係のバランス上に成り立ってきたが、近年では、新興諸国の台頭とともに、「民族と宗教の差異」による武力衝突という複雑な対立構造が生み出されてきた。
日本国憲法9条に込められた「いかなる抗争にも武力をもってしない」という「普遍的な平和への願い」を掲げている私たちにとって、今回の第6回「9条世界宗教者会議」の開催意義は、被爆地の広島、しかも広島平和公園内の国際会議場で開催されたことである。広島の歴史の学習も前日に行われ、キリスト教界のみならず仏教界の参加者、また12カ国からなる海外からの参加者を得、総計約250人が参集した。初日のプログラムは基調講演から始まり、発題、各地からの報告によって構成された。
2日目のフリートークでは、次のような発言があった。「世界の歴史が次第に自国主義や覇権主義に陥ってしまう中で、日本が犯した過去の戦争の罪を償うこととは、この憲法9条をもって全世界の平和のために訴え、その広がりを担うことではないか」。それに対して大きな賛同の拍手が起こったが、筆者もこの一言に明るい希望を得ることができた。
最終日には共同声明文を一同で起草し、午後からは原爆供養塔の前で、日本語、韓国語、英語による祈りがささげられた。そして、原爆犠牲者碑の前では、犠牲者の苦しみを覚え、献水の式が行われた。開会は小橋孝一NCC前議長が開催共同代表者として挨拶を行い、閉会は渡部信NCC議長の挨拶で終了した。(共同声明文はNCCホームページに記載)