日本全国で新型コロナウィルスの感染拡大が認められる地域に2度目の緊急事態宣言が発出されて、まもなく2か月が経とうとしている。飲食店を中心に自粛要請がされ、不要不急の外出を控えるという中で、各教会の対応も問われている。礼拝や集会を中止し、オンライン礼拝に切り替える教会、会堂に入る人数を制限して礼拝を守る教会、礼拝後の食事である愛餐会だけを中止にする教会など、対応はさまざまだ。日本の教会よりももっと多くの信徒が集い、礼拝や集会の数も多いアメリカの教会では、どのような対策がされているのだろうか。2019年末から約一年、アメリカに帰国していた宣教師カーソン・フーシーさんに話を聞いた。
当初、2019年末から3ヶ月間の予定で米国ノースカロライナ州に帰国したというカーソンさん。しかし、ちょうど新型コロナのニュースが世界で取り上げられるようになり、アメリカでも厳戒態勢が敷かれ、結局、アメリカで足止めを食う結果となり、9ヶ月間滞在が延長となった。その間、計らずも米国内における様々な教会のコロナ対策を見聞きすることとなった。
「(教会の)建物は閉まっているが、教会はいつでも開いている」
現地の教会で合言葉になっているという。教会自体は、礼拝や集会などを閉鎖せざるを得ない状態が続いていて、私たち一人ひとりは肉体的には離れているが、コミュニティはいつでも開いているということのようだ。
現地の教会でも礼拝を中止し、オンライン礼拝に切り替えたり、電話などを通して、独居の信徒や高齢の信徒を励ます日々が続いているという。日本の教会と同じく、ネット環境にない高齢者などへの支援も大きな課題となっている。ある教会では、教会がパソコンを貸し出し、オンライン環境を整え、オンライン礼拝はどのようにすれば参加できるかなどを高齢者宅へ出向き、サポートしているとという。
昨年の夏、子どもや青年のための教会学校のキャンプなども中止した教会が多かった。教会では、「VBSパック」として、教材や絵本を近隣の子ども達や参加予定の子ども達に配布。オンラインでつなぎ、その教材や絵本を使って、各家庭で楽しい時間を過ごしたという。
広大な土地がある郊外の教会では、教会や工場の駐車場で、十分なスペースをとって、自前のキャンプ用の椅子を持ちこみ、礼拝をしたところもあった。
「毎週が野外礼拝のようなものですね」とカーソンさんは笑う。
教会が行う秋祭りは、ドライブスルーで行われた。ランチボックスや綿あめ、教会学校の教材などが置いてあるブースを車で回るのだ。あるブースでは、ワーシップバンドのコンサートもあり、車の中から楽しんだのだという。
クリスマスの買い物も大きく様変わりした。ほとんどの人々がインターネットで買い物をするようになった。聖劇をオンラインで行う教会もあったという。オンライン礼拝やテレビ伝道、キャッシュレス献金など、もともと土壌のあった米国では、大きな混乱はないのかと思いきや、日本の教会と同じく試練の時を迎えていたのだ。
「アメリカの教会は、信徒の数が数千人というところも少なくありません。信徒を励ましたり、共に祈る機会がなくなり、肩を落とす人々をなんとか元気づけようと、聖職者たちが電話やインターネットを使って、一人ひとりと話しています。『礼拝をやるべきだ』『いや、中止するべきだ』という信徒間の議論も多くありました。日本の教会も同じだと思いますが、そこで決断をするのは、非常に苦しいことでした。しかし、教会は地域の人々の命を守るためにも、まずはクラスターを発生させないよう集まらないという選択をしたところが多かったのだと思います。そのような中で、医療現場と同じく、教会も疲弊しています。しかし、この時期だからこそ、地域にどのようにリーチするかが問われているのだと思います。最近では、いつもは日曜の礼拝の時間に来られなかった子ども達や青年たちもオンラインのイベントに参加してくれるようになりました。まさに、教会のドアは閉まっているけれども、開いている私たちのコミュニティに入ってきてくれたのだと思います」とカーソンさん。
日本では、ようやくワクチン接種が開始されようとしているが、このパンデミックの終息は依然として見えないままだ。教会のドアを開けようにも躊躇される今、日本の教会は開いているだろうか。