世界一、むき出しで無邪気で重たい祈り「ベンツが欲しい」

おはようございます。
今日もクリスチャンプレスをご覧いただきありがとうございます。

◆1943年1月19日 ジャニス・ジョプリンの誕生日

ジャニス・ジョプリンはアメリカのロック/ブルースの歌手で、1969年のウッドストックで伝説的なパフォーマンスを披露し世界的な注目を集めましたが、翌年1970年10月4日に突然、27歳でこの世を去りました。

彼女の代表曲の一つが『ベンツが欲しい』です。この曲がレコーディングされたのは1970年の10月1日、つまり死の3日前で、この歌が彼女の残した最後の歌になりました。まだ正式なレコーディングではなく、伴奏のつかないア・カペラでの仮歌でしたが、死後発売されたアルバム『パール』には、そのままの状態で収録されています。

その歌詞を訳すと「ねえ、神様。私にベンツを買って。カラーテレビも買って。夜の街を一晩まるごと買って」と、神様に無邪気なおねだりをする内容です。ですがそこには「これだけ一生懸命にやってるのに誰も助けてくれない」とか「神様、私をがっかりさせないで」とか、まるでダビデが詩篇で神様に対して祈ったような嘆きも含まれています。

ジャニスが敬虔なクリスチャンだったという話は聞きません。むしろアルコールとタバコとドラッグに囲まれた生活を送った彼女は、一般的なクリスチャンのイメージとは正反対かもしれません。それでも彼女のむき出しの叫びには無邪気な中にもしっかりと重たい祈りが含まれていたと思うと、クリスチャンじゃなくたって、敬虔じゃなくたって、清く正しくなくたって、誰もが神様に叫んでいいのだと、思わされます。

今夜はジャニスの愛した「サザン・コンフォート」で晩酌しようかと思います。

それではまた明日。

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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