あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ(ルカによる福音書4章8節)
主イエスは荒れ野で「40日問、悪魔から誘惑を受けられた」(2節)。私たちが住む世界には、悪しき霊である悪魔が力を振るっている。しかし、聖書は善の神と悪の神が戦っているという二神論を語らない。創造者である唯一の神が世界を支配しておられる。神がこの世界に悪魔の存在をゆるしているのは、人間が神に対してどのような関係を持つべきかを問うためである。
悪魔は人の子となった主イエスを誘惑した。悪魔の誘惑は主イエスの内なる霊的な戦いであった。最後に、悪魔は主イエスにこの世の王となる権力と繁栄を約束して、自分を拝むようにと誘惑した。これに対する主の答えが今日の聖句である。
人間はパンを求め、飢えが満たされると、自分の願望を実現するために地位や権力、また贅沢(ぜいたく)な生活や名声を求める。私たちはこのような自己実現を果たした人々を見て、羨ましく思う。しかし、人間はどんなに栄光と繁栄を手に入れても、これによって霊的な飢えは満たされない。むしろ、これらを手にすることによって、自分の力で何でもできる、神は要らないと考える。神は要らないと思う時、まさに、人間を神から遠ざけようとする悪魔の誘惑に落ちている。悪魔の前にひれ伏している。
私たちは科学技術の発展した便利な世界に住んでいるが、にもかかわらず、人間を分裂と混乱に陥れようとする悪魔が棲(す)む荒れ野にいる。悪魔は、権力と繁栄にあこがれ、これらを求めて狂奔(きょうほん)する人間の欲望につけ入って、世界を分裂と混乱に陥れる。私たちは荒れ野の悪魔に足をすくわれないように、主イエスの言葉に従い、神である主を拝み、ただ主に仕える道を歩もう。