日本で初めて教会でクリスマスを祝った日本のクリスマス発祥の地、山口市で1日、「クリスマス市イルミネーション点灯式」が行われた。それに続く「やまぐち光誕祭」は例年、山口サビエル記念聖堂(カトリック山口教会)で実施されていたが、今年は新型コロナ・ウイルスの影響で、山口サビエル記念聖堂のすぐそばにある亀山公園広場で無観客で行われることになった。また、その様子は動画で配信され、アーカイブも3日まで視聴できるようにした。
旧サビエル記念聖堂をイメージしたシンボル・モニュメントの「イルミネーション点灯式」や、サビエル記念聖堂の鐘とパイプオルガン、山口での日本初のクリスマス・ミサで歌われたと記録されているグレゴリオ聖歌「神は仰せになる」の演奏、大内義隆とフランシスコ・サビエル(ザビエル)の出会いから始まる山口のクリスマスの歴史を光と音で表現した映像(事前収録)が流された。
16世紀末の戦国時代における日本伝道を克明につづった宣教師ルイス・フロイスによる『日本史』には、山口の教会で初めてクリスマス・ミサが行われた様子がつづられている。この地を治めていた戦国大名、大内義隆(おおうち・よしたか)からフランシスコ・ザビエルに布教が許され、与えられた南蛮寺で1552年12月24日、日本で初めて降誕を祝うミサが行われたのだ。
山口において日本で初めて降誕祭の祝いが催されたが、その報(しら)せに接したキリシタンたちは、これを大いに喜んだ。……降誕祭当日に彼らは歌ミサを唱え、キリシタンたちは、それが初めてのことであったから非常に喜んで傾聴した。そしてその夜を徹して彼らはキリシタンたちに我らの主なるキリストの生涯を読んで聞かせた。
1951年にサビエル来訪400年を記念して建てられた旧聖堂(ザビエルの生家で、スペインにあるザビエル城を模して建てられた)は91年に火事に見舞われ、98年に今の近代的なデザインの聖堂が完成した。そして22年前から、市民に広く親しまれ愛着を持たれていた旧聖堂の姿を模したモニュメントをイルミネーションで再現している。
カトリック浅子教会(長崎県佐世保市)でもクリスマスのイルミネーションが始まった。西海国立公園九十九島を望む入江に面しているので、その光が波間に揺れて幻想的だ。来年1月10日(主の洗礼の主日)まで。
浅子教会は1927(昭和2)年に建てられた。イルミネーションは約20年前から始めて、入り口付近の漢字の電飾は毎年変えており、今年は「凪(なぎ)」。災害や新型コロナ・ウイルスの感染拡大が収まり、穏やかな1年を迎えられるようにとの祈りを込めたという。
カトリック宝亀(ほうき)教会(長崎県平戸市)でも発光ダイオード(LED)照明によるイルミネーションが施され、キリスト生誕にちなんだ「ベツレヘムの星」をかたどったオブジェや、教会正面の壁には新たに星形の飾りも加えられた。イルミネーションの点灯は午前5時~7時、午後5時~9時で、来年1月10日まで。
宝亀教会は1898(明治31)年に建てられた平戸で最も古い木造教会。坂道を登って小高い丘に佇(たたず)んでいる。瓦葺(かわらぶ)きの平屋で、正面が煉瓦(れんが)造りになっており、その聖堂の両側にはテラス風のアーケードが設けられ、扉を兼ねる両開きのガラス窓から出られる独特の構造となっている。
2003年に長崎県指定有形文化財に指定された。その後、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を世界遺産に登録しようという運動が行われ、07年には宝亀教会も登録候補の一つとなった。しかし、2000年に行われた、骨組みを残しての大規模な改修工事により文化資材の真正性が失われたと見なされ、候補から除外することが12年に決定された。