青山学院大学(東京都渋谷区)は16日、「第96回東京箱根間往復大学駅伝競走」出場壮行会をガウチャー記念礼拝堂前で開催した。学生や教員、職員ら約1000人が集まった。
10日にエントリーが決まった選手16人と原晋(はら・すすむ)監督らが登場すると、会場には大きな拍手が沸き起こり、続いて同大宗教主任の伊藤悟(いとう・さとる)教授が次の聖書の言葉を読んでから開会祈祷を行った。
こういうわけで、わたしたちもまた、このようにおびただしい証人の群れに囲まれている以上、すべての重荷や絡みつく罪をかなぐり捨てて、自分に定められている競走を忍耐強く走り抜こうではありませんか、信仰の創始者また完成者であるイエスを見つめながら。(ヘブライ12:1〜2)
「ここに集った選手たちは、あらゆる誘惑をかなぐり捨て、自分に定められた競争を忍耐強く走り抜こうとしています。鍛錬を重ねてきた選手たちの上に主なるイエス様の守りがありますように。同時に、出場するすべての大学の選手たちを覚えて祈ります。箱根を目指してきた学生や関係者の上に祝福と労(ねぎら)いが与えられますように。主イエス・キリストの御名によって祈ります」
12年連続、25回目の出場となる箱根駅伝。昨年は、復路は首位だったものの、総合優勝は東海大学に奪われて2位になり、2014年から続けてきた4連覇を阻止された。今シーズンのスローガンを「『万緑の挑戦』──0から1へ」(チームカラーのフレッシュグリーンをイメージして、再スタートの意味が込められている)として、2年ぶりの優勝を目指している。
原監督は語る。
「新チームとなり、特に4年生に対して厳しい言葉で叱咤激励してきました。しかし夏合宿を経て、チームは4年生を中心に大きく成長してくれ、先日、無事に選手エントリーを終えることができました。16人の学生たちは8学部から構成されていますが、これは他大学に比べて非常に多い学部数です。また、学生たちの出身地も12都道府県と、青学のチームで強くなりたいと、多くの地域から大学の門を叩(たた)いてくれています」
そして、駅伝への思いを次のように伝えた。
「幼稚部から大学院まで、多くの人が一丸となって応援してくれ、青学はラグビー日本代表のスローガンと同様に『ワンチーム』で戦っています。一体感を持って、みんなが青学のことを思ってくれていることを、箱根駅伝を通じて広めていきたい。
今回の私の作戦名は『やっぱり大作戦』。やっぱり青学は強かった、やっぱり4年生はよかった、やっぱり青学を応援してよかったと思えるようなゴール・シーンを皆さまの前に見せられることを祈っています」(ちなみに15年は「ワクワク大作戦」、16年は「ハッピー大作戦」、17年は「サンキュー大作戦」、18年は「ハーモニー大作戦」、19年は「ゴーゴー大作戦」)
同大の壮行会では、選手が自らの言葉で話をするのが恒例だ。16人の選手一人ひとりが挨拶(あいさつ)の言葉を述べた。その後、午前中に学長就任式を終えたばかりの阪本浩(さかもと・ひろし)学長が、主将で4年生の鈴木塁人(すずき・たかと)さんに襷(たすき)を手渡した。「この襷には先輩たちの努力と経験、全学の学生の熱い応援の気持ちと期待がこもっています。大手町では部長と監督に『やっぱりね』と言えることを確信しています」と阪本学長は激励した。
それを受けて、鈴木さんが決意表明を語った。
「前期は上手くいかないことだらけで、本当に箱根で勝てるのかと思っていた時期もありましたが、その経験がチームを大きく成長させたのだと思っています。当日は10人で走るのですが、それ以外のメンバーのサポートも必要です。そういう一致団結したチーム作りを1年かけてやってきました。あとは自信を持って、『勝ちたい』という強い思いで臨みたいと思います。笑顔で大手町にゴールし、『やっぱり青学は強かった』とみなさんに報告できるように精いっぱい残りの日を過ごしていきたい」
続いて、青山祭実行委員会より原監督に応援旗が贈呈され、吹奏楽バトントワリング部のカレッジソングと共に、応援団からは力強い応援エールが贈られた。
壮行会の後は、ガウチャー記念礼拝堂内で記者会見が行われた。エントリー選手それぞれが、希望する区間のアピールや自身の強み、駅伝への熱い思いを語るなど、来年1月2日、3日に向けて強い意気込みを見せた。