『上馬キリスト教会ツイッター部の世界一ゆるい聖書教室』(講談社)が11月20日に発売された。前著『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』(同)よりさらにゆるく、面白く聖書の世界へと案内してくれる。
今回は聖書の人物に焦点を当てており、内容も盛りだくさん。知らない人にもキリスト教に親しんでもらうことをコンセプトに、程よいふざけ具合の文章と、笑いを誘う可愛いイラストで、最後まで飽きさせることがない。
著者は、上馬キリスト教会(東京都世田谷区)の教会員で、10万人以上のフォロワーを持つ同教会ツィッターで「まじめ担当」のMARO(マロ)さんと、同じく「ふざけ担当」のLEON(レオン)さん。
前作同様、テンポよく言葉が踊り、次はどんなことが書かれているのか、ページをめくるのが楽しくなる。何より、辞書の厚さほどもある聖書全体を網羅しているところが同書のすごいところだ。クリスチャンにとっては「あー、分かる、分かる」とクスッと笑える箇所が満載。またノンクリスチャンにとっては、聖書を開いて、実際どのように書かれているのか調べたくなるのではないだろうか。
シリーズ第2弾といっても、『教室』の前に『入門』を読む必要もない。どこを切ってもイエス様が出てくるのが聖書であるように、どこからどう読んでも楽しい聖書のエピソードが出てくるのだ。また、どんなに話が飛躍しても、最後にはキリストのもとに案内されてしまうところも魅力だ。
前著『入門』では、旧約聖書と新約聖書の概観を伝えたが、『教室』ではまず、マタイ福音書の冒頭に出てくる、イエス誕生に至る「系譜」を取り上げる。この「系譜」は、初心者が聖書を読むにあたっての第一関門であり、クリスチャンにとっても面倒くさい箇所ではないだろうか。しかし、そこを「ゆる~く描いた聖書の人物系譜」として、誰にでも分かる言葉で旧約と新約の関係について軽快に語っていく。
「1 イエス様の行動ハイライト」では、イエス様の生涯がざっくりとダイジェストで紹介され、イエス様が「意外とぶっ飛んだ、面白い人」であることが判明する。
「2 聖書いろいろナンバーワン」では、ヤコブ、サムソン、ソロモン、エステル、ヨブ、ペテロら10人が登場。それぞれ、どんなナンバーワンに輝いているのかは、ぜひ同書で確認してほしい。
「3 名画に描かれた聖書」では、ミケランジェロの「アダムの創造」やレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」など、選りすぐりの名画12点に示される意味をユニークな発想で解明していく。
「4 預言者列伝」では、旧約聖書の後半を彩る預言者エリヤやイザヤなど、人間として個性的な面白いエピソードが紹介されている。
「5 ある日の『聖人日記』」では、アダムやマリアなど、その心の内がそれぞれの話し言葉でつづられており、その内容の自由さに驚かされる。
そのほか、「6 聖書の意外な真実」「7 聖書と律法」と、読みごたえのある内容となっている。
著者は、聖書のストーリーを巨大な織物にたとえ、神様という不動の縦糸あって、そこに横糸の人間が織り合わされることで、色彩豊かな世界が成立しているという。
また、この本を読んで聖書や神様についてどんどん疑問を持ってほしいとも言う。大好きな人が自分に興味を持ってくれれば嬉しいのと同じように、神様も、大好きな人が興味を持って問いかけてくれることはとても嬉しいことなのだと。
「神様にとって人間ほど愛おしい存在って他にないんです。……『神様は人間が好きで好きでたまらない。一人残らず、もちろんあなたのことも』」
このクリスマス、聖書を一度も開いたことのない人へのプレゼントに最適な1冊だ。
『上馬キリスト教会ツイッター部の世界一ゆるい聖書教室』
講談社
2019年11月20日初版発行
四六判・213頁
1300円(税別)