皇位継承に伴う「即位の礼」や皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」などの宗教儀式に国が公費を支出するのは、憲法が定める政教分離の原則に反するとして、牧師を含む241人が国を相手取り、1人当たり1万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、東京地裁(鈴木正紀裁判長)で開かれた。国側は請求の棄却を求め、争う姿勢を示した。
103号法廷で原告側の日本基督教団牧師の堀江有里さんが、天皇制への翼賛の危険を訴えた。天皇の名のもとに戦争協力させられる中で日本基督教団が成立させられた歴史を振り返り、天皇制がまた女性の差別や権利侵害とともにあることを話した。
昨年12月10日、市民団体「即位・大嘗祭違憲訴訟の会」のメンバーらが提訴したが、東京地裁は一度も弁論を開かないまま、支出差し止めの訴えを却下する判決を5日付で出した。損害賠償を求める訴訟の審理は続き、次回の口頭弁論は5月8日に行われる。