国教会が多くを占めるドイツでは州や地域ごとに代表者が立てられているが、ラインラント(ドイツ西部の総称)福音教会のトルステン・ラッツェル会長(デュッセルドルフ)=写真=は、「今後、教会は日曜日以外にも礼拝が可能とされる必要がある」と述べた。ドイツの福音主義メディア「IDEA」が報じた。
現在ラインラントでは平均1.7%の教会員が礼拝に出席しているが、その数は年々減少傾向にあり、教会員数の維持・増加を考えるにあたって礼拝の曜日を考え直すことは必須なのだという。
聖書と告白ネットワーク(ドイツ国内で保守的な聖書理解に取り組む神学者、教会、教会員の団体)会長のウルリッヒ・パルツァーニ氏は日刊紙『Die Welt』で「ラインラントのプロテスタント教会は、教会生活の中心である日曜礼拝を放棄しようとしている」と批判。また「彼らはこれを、苦難を乗り越えるための結実として美徳のように売り出している」とも言及した。
これに対しラッツェル氏は「IDEA」で「日曜日を守ることは私たちにとって重要かつ貴重な財産であり、それはこれからも変わらない」と反論した上で、日曜日以外の礼拝について言及した理由について「多くの人々にとって日曜日は1週間のうちで唯一の休日であることも事実」と述べた。
日曜10時に始まる礼拝の起源は農作業が中心だった時代に遡り、そこでは農村社会ならではの生活循環が存在した。つまり日曜礼拝の文化もまた社会の中から発生した一つである。現代の多様化したライフスタイルに対応するために、教会もまた柔軟に週末の夜や土曜日の夕方といった時間に礼拝を行う必要も考えられる。その目的はできるだけ多くの人にキリストを伝えることである。
ラッツェル氏は、教会のあり方から洗礼についても「キリスト教的な教育が保障されるのであれば、親が教会に属していなくても幼児洗礼を認める」と提言。これに対し先述のパルツァーニ氏は同紙で「これは洗礼を蔑ろにするもの」と批判したが、ラッツェル氏は「それどころか私たち(教会と教師)はキリスト教教育という任務について真剣に受け止めている」と反論した。また教会員ではないが子どもに神と信仰について学ばせたい親の可能性についても言及した。
最後に「私たちはイエス・キリストを見出そうとする人々の道に不必要な障壁を置きたくない」と述べ、それを前提に議論や神学的考察を深めたいとラッツェル氏。例えば教会外の場所や空間での礼拝についても彼は支持しており、それは礼拝の「イベント化」ではなく、より一層教会生活が個人に寄り添うべきであるという考えに基づいているという。そのような生活規範から礼拝に革新を起こすことこそ、実は宣教にまで結びつくのだと結論づけた。