Q.教会で管理する墓地に、教会員以外から納骨してほしいと頼まれました。無条件で受け入れるべきでしょうか?(教会役員・50代)
弁護士の仕事として、死後相続人のいない方の財産管理があります。ある時、埋葬場所の分からない遺骨を、役所が合葬を請け負う団体に託すという事例がありました。私は単身でも親の墓はあるはずと思い、故人のアパートから檀家寺の手がかりを見つけ、そのつてで両親の墓も探し出しました。
本来、遺骨は管理業務外なので心配しなくてもいいのですが、私は裁判所の許可をもらって位牌を作り、永代供養料を携え遺骨をかかえて山陰地方に赴き、住職の読経のなか無事両親の墓にその遺骨を納めました。信仰は違っても、故人の遺志に添った納骨ができてほっとしました。
教会の墓地の場合、遺骨の受け入れは墓地の管理者である教会が、個々にその教会の働きとして決めることです。歴史上、死後異端と宣告された方について教会の墓地から亡骸を掘り出したという話がありますが、どのような方であれ、また、近時話題のペットであれ、一つとして神さまの手によらないものはないのですから、こうでなければというものはないと思います。
手続き的には教会財産の管理問題として役員会で決すべきですが、あらかじめ規定を整備しておけば、相談を受けた牧師・役員があいまいな返事をしてきちんとお断りできないということは避けられるでしょう。
逆に教会員で教会の墓地に埋葬されることを本人が希望していながら、遺族が反対するということもあります。ご本人の遺志が尊重されるような手当てが望まれます。
さて、亡くなった方本人も依頼主も教会員でないとすれば、それでも教会の墓地に埋葬を希望するのはどうしてなのか、そこのところを大事にしたいと思うのです。教会員でなくても、教会として申し出を受け止めることが牧会上望ましいこともあるかもしれません。
そこで、規定を作るにあっては原則的資格を定めた後、「その他、特に役員会が相当と認めた場合」という特別の配慮項目を設けておくのはどうでしょうか。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
おおしま・ゆきこ 弁護士。1952年東京生まれ。72年受洗。中央大学法学部卒業。84年に千葉県弁護士会へ登録。渥美雅子法律事務所勤務を経て、89年に大島有紀子法律事務所主宰となり現在に至る。日本基督教団本所緑星教会員。