6月9日の英メディア「BBC」報道によると、米の保守的な州ではLGBTQ(性的マイノリティー)の権利や人種といったテーマについて学校で教えることを禁止する動きが高まっている。有害図書の禁止はテキサスやフロリダ、ミズーリ、サウスカロライナの各州でも行われている。一方、リベラル寄りの州の一部の学校や図書館では、人種差別的とみられる内容の書籍が禁止されているという。
米ユタ州のある学区が、「下品もしくは暴力的」な内容を含むとして、キリスト教の聖書を小学校と中学校から撤去した。この措置は、ある親が「欽定訳聖書」の内容が子どもには不適切だと訴えたことで決まった。ユタ州政府(共和党)は2022年、「ポルノグラフィティーやわいせつな」書籍を学校から排除する法案を可決している。
今回のユタ州での措置は、ソルトレークシティー北部のデイヴィス学区で、2022年12月に提出された申し立てに基づくもの。当局はすでに、学校の書棚にあった聖書7~8冊を撤去したと発表。教材に該当の内容が使われたことはないと付け加えた。措置を決定した委員会は、聖書を禁止した理由や、「下品もしくは暴力的」とされた部分については明かさなかった。
地元紙によると、申し立てを行った親は、欽定訳聖書は「(2022年の禁書法の)新定義に照らすとポルノにあたるため、未成年にとって重要な価値を持たない」と述べていたという。2022年の州法を作成・提出したケン・アイヴォリー州議員は以前、聖書撤去の要請は「ばかげたこと」だと一蹴していた。しかし今週に入り、聖書は幼い子どもたちが「読むには難しい」ものだと、態度を変えた。アイヴォリー氏はフェイスブックで、「アメリカでは伝統的に、聖書は家庭で暖炉を囲みながら、家族として教えるのが最もふさわしく、そうしてこそ、最も良く理解されるものだ」と書いている。
デイヴィス学区は、聖書の内容は2022年の州法に違反しないとした上で、その中には「幼い児童には適切でない、下品もしくは暴力的な描写」が含まれる結論付けた。聖書は引き続き、高校には置かれるという。同学区の小学校に子どもを通わせているボブ・ジョンソンさんはCBSニュースの取材で、聖書の撤去には反対だと述べた。「聖書のどの部分を削除すべきなのか。絵が描かれているわけでもないのに」と、ジョンソンさんは話した。(CJC)