【米CT】 牧師の38%が離職を検討 教会指導者たち憔悴させ続ける燃え尽き症候群

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パンデミックが進むにつれて、燃え尽き症候群が教会の指導者らを憔悴させ続けている。米「クリスチャニティ・トゥデイ」の記事から紹介する。

テキサス州北東部のタワコニ湖畔でキャンプファイヤーを囲んだニック・バーレソン牧師は、次から次へと牧師が最大の課題を告白するのを聞いてきた。うつ病、教会での対立、夫婦喧嘩、そして最近では、自らの役割を続けるべきかどうかの疑問について。

バーレソン牧師は、所属するティンバーリッジ教会(ステファンビル)とビスタ教会(ハートランド)が主催する3日間のリトリートを企画している。「リトリートには毎回、牧師を辞めることを考える牧師たちが参加する。彼らは多くの点で行き詰まりを感じており、それがプレッシャーや燃え尽き症候群に拍車をかけている」と話す。

牧師の燃え尽き症候群は、パンデミックの間に悪化している。今日発表されたバーナグループの調査によると、牧師の38%がフルタイムでの牧師職を辞することを真剣に検討しており、1月時点の29%から大幅に増加している。「この18カ月間に加速した変化により、多くの牧師は頭も心も混乱している」と、バーナ教会の雇用担当副社長ジョー・ジェンセン氏は述べる。

「混沌とした状況、プレッシャー、ソーシャルメディアの拡大鏡、パンデミック、政治、ハイパーデジタルの文脈の中で、多くの牧師たちが『これは本当に私が契約した働きなのか』『これが私の召命なのか』と問うのは当然のこと」

自身の職業を再考する牧師の数が増えていることは、ストレスの増加やメンタルヘルスの悪化と相関している。2016年に行われたバーナ社の世論調査では、牧師の85%が精神的な健康状態を「良い」または「たいへん良い」と評価した。2021年10月の世論調査では、60%にまで減少した。「説教壇を去ることを真剣に考えたことがある」と答えた牧師は、「人間関係においてうまくいっている」と答えた人の半分、「感情的にうまくいっている」と答えた人の3分の1であったことが分かった。

このように多くの牧師が危機に瀕しているため、牧師たちは友情を育み、苦悩について率直に話し、アドバイスを受け、精神的なサポートを得ることができる場所をより強く求めている。

「コロナ以前、燃え尽き症候群は牧会者の間で静かに蔓延していた。統計がそれを証明しているが、今では燃え尽き症候群が特定地域で流行を繰り返す『風土病』と言えるかもしれない」とダン・ホワイト氏は言う。2020年にキネオセンターを立ち上げた同氏は、プエルトリコで牧会者のためのリトリートを開催し、2021年には週1回のコーチングプログラムを開始する予定。

ホワイト氏は、牧師との仕事の中で危機が激化しているのを目の当たりにしてきた。安息日のリズムや休暇をきちんととっている人でも、燃え尽き症候群を経験する指導者が増えている。燃え尽き症候群はさらに深刻化し、落胆と疲労が「骨の髄まで」達している。

「燃え尽き症候群は、性格の違いに応じてさまざまな形で現れ始める」と、長年にわたり教会の開拓者、牧師、コーチとして活躍し、カウンセリングの学位を持つホワイト氏は言う。「ある人にとっては、家族との密室での怒りやいら立ちのように見える。またある人は、逃避するためにソーシャルメディアやアルコール、テレビ視聴などに過度に溺れているように見える。私たちの心、魂、体は、感じているプレッシャーを補おうとする」

ノースカロライナ州ダーラムの牧師でカウンセラーのエヴァン・マーベリー氏は、燃え尽き症候群を見極める目安として、第二コリント1章8節のパウロの言葉を用いる。「私たちは、耐えられないほどひどく圧迫されて、生きる望みさえ失」った。

「神の近くにいることを感じられず、自分を愛してくれる他者を感じられず、自分が神に似せて作られていることや、自分の存在が実際に喜ばしいものであることを感じられない。そのような状態になってしまうと、本当に困ってしまう」「パウロがそう言っているにもかかわらず、多くの牧師はそのような場所を恥じたり恐れたりしている。パウロが言ったのなら私たちも言えるはず」

パンデミックが進むにつれ、牧師たちは全体的に過重な負担と孤独を感じており、特にプロテスタントの主流派教会では深刻だ。2021年10月、主流派牧師の半数が「辞めることを真剣に考えている」と答えたのに対し、福音派の非主流派の牧師では3分の1に留まっていることがバーナの調査で分かった。2020年と2021年に訪れた揺り戻しや危機の中で、牧師たちが自分の役割やメンタルヘルスへのアプローチを見直す機会となっている。

「多くの牧師が希望を感じられず悩んでいる」と、キリスト中央教会の牧師であるマーベリー氏は言う。「彼らは神学的に信じているが、状況は悪化の一途をたどっているようだ。予算は減り、礼拝出席者も減り、そして誰かがあなたの前に座って『私は辞めます』と言う。それは疑問や恥、不完全な気持ちを助長する」

教会がパンデミックの間、対面集会を中止したことで、牧師たちは満席の教会で一緒に礼拝したり、礼拝後にメンバーとハグしたり、直接問題を話し合ったりすることで得られる確信を失った。そのため、教会での激しい対立、政治的な離脱、パンデミックのトラウマなどを乗り越えてきた牧師たちは、自らの働きの中で最も命を与える部分を失ってしまうことになった。

「牧師たちは、自分の牧会の完璧さではなく、キリストの中に自分のアイデンティティを見出すことを余儀なくされているが、それはむしろ良いことだと思う」とバーレソン氏は言う。彼はティンバーリッジ教会で、成長しないことへの不安を解消し、マタイによる福音書25章21節に記された神の召し(「よくやった。良い忠実な僕だ。お前は僅かなものに忠実だったから、多くのものを任せよう」)は、成功ではなく忠実さに焦点を当てたものであることを自分に言い聞かせなければならなかった。

彼は2022年に向けて、湖畔でのリトリートをさらに20回計画している。これは同プログラムでの最多記録であり、夫婦牧会者のために週末を含むよう拡大する予定だ。参加者は友人として連絡を取り合い続け、専門家によるカウンセリングやサポートが必要な人には、主催者が信頼できるリソースを紹介している。

多くの牧師は、生涯の仕事と考えてフルタイムの牧師になるため、慢性的な健康問題、不安や抑うつなど、多くの問題に耐えてから転職を考えることが多いようだ。しかし、カウンセラーやコーチは、彼らの経験がバーナの調査結果と一致しているという。崖っぷちに立たされた多くの牧師が、いつまで持ちこたえられるか悩んでいるのだ。

「牧師が転職を検討する際に一番影響を受けるのは、お金の問題。そこにパニックがある。多くの場合、私たちは彼らが自分自身と世界における牧師としての役割を再考する手助けをしなければならない」とホワイト氏。

バーナ社のジェンセン氏は、牧会者としての立場に疑問を感じている牧師たちに、召命を考え直すことで自分が牧師として劣っていると考えるのではなく、そのプロセスに寄り添うことを勧めている。「ダビデ王やモーセなど、聖書に登場する人物たちは、自身の召命に疑念を抱いていた。今はその緊張状態に身をゆだね、イエスとの関係を深め、それが職業牧師であろうとなかろうと、自分の本来の姿をよりたくましく、より確かなものにする絶好の機会なのだ」

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