Q.キリスト教主義の学校で日曜日に行事があるのはおかしいと思いませんか?(50代・女性)
「先生、タイヘン、タイヘン」
「どうしました。また、犬が死にましたか?」
「いえ、娘が希望の中学に合格したんです」
「それはおめでとう。で、どうしてタイヘン?」
「授業料が高くて、それがタイヘン!」
「……」
それから1年後。
「先生、タイヘン、タイヘン」
「またですか。今度はなにがタイヘン?」
「娘が日曜日に教会に行かなくなりました」
「そういえば最近姿を見かけないね」
「いやぁ、日曜日も部活の練習や試合だと言っては学校へ行くんです。キリスト教の学校なのに、どうして日曜日まで部活をするんですかね」
「それだけ部活に力を入れているのでしょう。それに、対外試合はたいてい日曜日だから」
「部活だけではないんです。文化祭や体育祭も日曜日にかかるし、保護者会も日曜日が多いのです」
「それは保護者の都合を考えてのことでしょう」
「へぇ~、案外もの分かりがいいんですね。教会員には日曜日の礼拝は休んではいけないと言うくせに、学校には甘いんですね」
「いやぁ、そういうわけじゃないけれど、それにキリスト教学校は毎日礼拝をしているしね」
「娘も同じことを言うのですよ。〝毎朝学校で礼拝しているから、それでいいじゃん〟学校で礼拝しているから日曜日に教会に行かなくてもいいと、教えているのでしょうか」
「そんなことはないでしょうが」
「キリスト教の学校だから日曜日の行事や活動は止めて、もっと教会に行くよう指導すべきではないですか」
「そうしている学校もあるけれど、だからと言って学生が教会に行くとは限らない」
「それは教会の側に問題があるからでしょう。せっかく学校でキリスト教に触れているのに、教会はその働きを大切にしていない」
「教会に矛先ですか?」
「教会が日曜日の礼拝を大切にしているのなら、日曜日の学校行事や活動を止めるようもっと訴えるべきでしょう。それができないということは……」
「う~ん、でもタイヘン、タイヘン」
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
かんばやし・じゅんいちろう 1940年、大阪生まれ。同志社大学神学部卒業。日本基督教団早稲田教会、浪花教会、吾妻教会、松山教会、江古田教会の牧師を歴任。著書に『なろうとして、なれない時』(現代社会思想社)、『引き算で生きてみませんか』(YMCA出版)、『人生いつも迷い道』(コイノニア社)、『なみだ流したその後で』(キリスト新聞社)、共著に『心に残るE話』(日本キリスト教団出版局)、『教会では聞けない「21世紀」信仰問答』(キリスト新聞社)など。