Q.結婚したら「牧師夫人」になるのだから「仕事はやめてほしい」と言われ悩んでいます。(20代・女性)
「牧師夫人」言い換えれば「牧師の妻」。それは、「教師の妻」や「会社員の妻」と同じように、ある職業につく夫との関係を表します。しかし、夫の職業と妻への期待が絡み合うという点では、総理大臣の妻と共通する複雑な課題が絡んできます。
さて、妻自身が、牧師や伝道者としての特別な召しがある場合を除けば、教会の中での牧師夫人の立場は信徒です。欧米や、韓国では、牧師夫人も教職でない限り、信徒としての立場を明確にしています。あなたの問には、「牧師夫人」になるのだから、という理由で今までの仕事をやめてほしいと求められていますが、その求めの背後にある一つの「牧師夫人像」が気になります。
実は、私もこのことでは悩みました。牧師の両親のもとで育ったことから、牧師夫人は教会の母のような存在で、霊的な導き手であり、教会堂の清掃・管理、電話対応や事務、奏楽、CSの奉仕、そして教会の全集会に当然のように出席するものなのだと思っていました。子育てにおいても、信徒の子どもたちのお手本となるような子を育てるべきだと……。
脳裏に焼きついたこの「牧師夫人像」は神話化され、そのようにできていない自分を責め、落ち込ませたのでした。もしこれが「牧師夫人」の役割ならば、別の仕事を持つことは考えられません。
あなたとあなたの伴侶となる人、さらには2人が所属する教会や教派では、どのような牧師夫人が期待されているのでしょうか? しかし、気をつけなければならないことは、期待の背後に知らず知らずの内に築かれてきた「牧師夫人像」です。それが先にあって、あなたのあり方を規定するなら、あなたの個性や神の召しがないがしろにされることになります。
もしそうだとしたら、あなたはこれから苦しみ続けることでしょう。もちろん、これから所属する教会の期待を無視することも問題です。だからこそ、これらのことを共に考えよく話し合う時をもたれることが大切なのだと思います。
にしおか・まりこ 東京聖書学院、タルボット神学校(結婚・家族ミニストリーの修士)卒業。日本ホーリネス教団川越のぞみ教会で夫と共に牧会。結婚カウンセリング 「プリペアー/エンリッチ」の日本推進委員。ファミリー・フォーラム・ジャ パン評議員、臨床牧会研究会・結婚カウンセリング部門担当委員、3人娘の母。