WCC第65回中央委員会が閉会 アブオム議長、コロナ禍でも「壊れなかった」教会の「復元力」に希望

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世界教会協議会(WCC)は6月29日、イタリア・ジェノバで6日間にわたり開かれた第65回中央委員会を閉会した。史上初のオンライン開催となったが、多くの前向きな提案が寄せられ、議長であるアグネス・アブオム氏は、2022年9月に延期されたドイツ・カールスルーエで予定されている第11回WCC総会のプログラムについて「基本的に合意した」と発表した。

開会メッセージでアブオム氏は「世界の教会のレジリエンス(回復力・復元力)――苦悩させられたが、決して壊されなかった」と題して、次のように語った。

「教会がコロナ禍や関連する重大な諸課題に悩まされているのは確かだが、牧師や教会員の命を失うという高い代償を払いながらも、壊されてはいない。むしろ教会は、ほとんど支援を受けずとも、大きな変化に対応する高い適応力があることを示している。第一に、地方の教会は最も弱い立場にある群れを定め、食料の配給に時間をかけて取り組んだ。また別の地方では、周縁に置かれた人々を守るために、食糧がそれぞれの戸口まで届けられた。第二に、多くの牧師たちが最前線で牧会的奉仕をささげ、その内の少なくない方々が亡くなり、また今も死線の内にある。とりわけ、農村地域の牧師たちは、ロックダウン中であっても遺族など弱い立場にある家族を訪問し、寄り添う牧会的訪問を続けた。実際、これらの牧師たちの中にはZoomやインターネットのような仕組みにアクセスできない人も数多くいる。第三は、若者たちが聖職者や教会職員がテクノロジーを自分のミニストリーに使うのを助けたり、牧会の仕事に同行したりする上で、極めて重要な役割を果たしていること。第四は、教会の働き手がテクノロジーを活用したことにより、これまで接することができなかった人々への教会のアプローチが拡大したこと。教会の草の根の声が、教会指導者や意思決定者の会議室に届くことになった。教会がそのサイロの外側で働くことができ、教会の人道的、霊的な支援が国境を越えて行われたことは注目に値する」

さらにアブオム氏は、「キリストの愛が和解と一致へと世界を動かす」をテーマに掲げる第11回総会は、諸教会が愛と解放のメッセージを宣言する良い機会になると強調。カールスルーエ総会のホスト国であるドイツの諸教会からも準備状況の報告があり、中央委員会も大きな期待を表明した。

中央委員会のメンバーであるドイツ福音主義教会(EKD)のペトラ・ボッセ・フーバー統括監督は、さまざまな団体や政治家たちも次期総会に関心を示しているとし、「教会や宗教団体が、社会発展のための重要な動力源であると認められている。特にこのコロナ禍で一致と結束が試される状況にあって、この総会が目を覚ます契機となることを望んでいる」と話した。

中央委員会では八つの地域別会議もオンラインで招集された。太平洋地域会議で、日本政府の福島第一原子力発電所放射能汚染水海洋放出に対する厳しい批判があったと報告されたことを受け、中央委員である西原廉太氏(日本聖公会中部教区主教)は、チャットを通じて、参加者全員に「日韓教会(NCCK-NCCJ)共同声明文――福島第一原子力発電所放射能汚染水海洋放出計画の撤回を強く要請します」を紹介すると共に、太平洋地域会議からの教会の声を、日本の諸教会にも伝えることを約束した。

日韓NCCが共同声明 汚染水海洋放出計画の撤回求める 2021年5月21日

次回の中央委員会は、2022年2月8日から16日まで、スイス・ジュネーブのエキュメニカル・センターで実施され、WCC次期総幹事の選出も予定。それまでにワクチン配布の世界的不平等が解消され、参加者全員が適切にワクチン接種を受けていること、正当にビザが発給されることを前提条件に対面で行われる。

 






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