ジョー・バイデン米新大統領は1月28日、人工妊娠中絶について米国外で助言や医療機関の紹介を行う国際的な非営利団体(NPO)に米政府が資金援助することを禁じた「メキシコシティー政策」を撤回する文書に署名した。中絶は米国の世論を二分する問題で、大統領就任からわずか数日で政治的な反発が広がる恐れもある、とAFP通信が報じている。
バイデン大統領が署名したのは、毎年恒例の妊娠中絶反対デモ「マーチ・フォー・ライフ」が行われる前日。文書には「米国と世界の女性と少女の性と生殖に関する健康と権利を支援するのが、わが政権の政策だ」と記されている。
バイデン氏はまた、ドナルド・トランプ前政権下で施行された女性に妊娠中絶を勧める米国内の家族計画クリニックへの政府の助成禁止についても、見直しを命じた。
バイデン氏の支持基盤である民主党の支持者らの多くは、中絶の権利を支持している。ただ、バイデン氏は敬虔(けいけん)なカトリック教徒で、カトリック教会は中絶に断固反対の立場。バイデン氏はこれまで中絶問題には慎重な姿勢を取り、中絶という言葉にもめったに言及してこなかった、とAFP通信。(CJC)