あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。
コリントの信徒への手紙一10章13節(参照箇所同書10章1〜13)
パウロは、旧約の歴史を引き合いに出し、出エジプトの旅がさまざまな試練の連続であったことをふり返ります。信仰の旅もまた荒れ野の試練と同じであると言うのです。
しかし彼は言います。これまで受けてきた試練で、「人間として耐えられないようなものはなかったはずです」(13節)と。人が経験する試練に、人間の世界を越えて起るものはありません。もし耐えられないような試練であるなら、今ここに二本の足で立っているはずがないと気付かせているのです。
さらに「試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます」と言います。試練には、お先真っ暗でこれからどうなると思うこともあるものです。パウロは、如何なる試練にも出口があると確信しているのです。これを信仰の楽観主義と見るのは早計です。彼は、途方に暮れ、出口がどこにも見つからないときにはキリストという出口がかならず残されていることを信仰によって知っているのです。
これこそ「神が真実な方」(13節)であることの証であって、信仰者は裏切られることはないのです。信仰者はたとえ荒れ野の旅の最中にいても、その保証の中を歩いているのです。