6月14日 エステル記4章14節

この時のためにこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか。
エステル記4章14節(参考箇所同書3章1〜4章17節)

前5世紀頃のペルシア王クセルクセス一世の宮廷で起こった物語。エステルはその美しさからペルシア王の王妃となりますが、ユダヤ人であることは隠したままでした。モルデカイが王妃エステルに王に進言して迫害を止めさせるよう迫り、身元が分かることを躊躇(ちゅうちょ)する彼女に「この時のためにこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか」というのでした。

人は、自分の意の添わない人生を感じたり、身の不遇を託ったりすることがありましょう。できればこんな人生を送りたくなかったと思うこともあるでしょう。

しかし、これまでの人生がなければ、今の人生はありません。成熟した人は、明日をどう生きるかのために、今日までの人生をどう生きてきたかをふり返ることができるといいます。それこそ今を生きるために、これまでの人生があるということです。もし辛い人生があったとすれば、その辛さを乗り越えて今日があるのであり、意に添わない日々が続いていたのなら、その日々を生き抜いてきた力があったからこそです。それに気付くなら、これまでは「この時のため」にあることを知るでしょう。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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