4月26日 創世記12章1節

主はアブラムに言われた。「あなたは生まれ故郷、父の家を離れて、わたしが示す地に行きなさい。」
創世記12章1節(参考箇所同書12章1〜8節)

アブラハム(アブラムはアブラハムの短縮形)の信仰は、新約における福音的信仰のモデルとされます。とくにパウロの信仰の源ともなりました(ガラテヤ3章)。アブラハムの信仰が絶対的な神信頼に基づいていることが、福音的信仰のモデルになっているからです。

彼は故郷であるカルデアのウルを出て、ハランに至り、神が行けと言われた通り、一族郎党を引き連れ、ひたすら示された地へ向かうのです。行けと言われた土地がどこにあるのか、彼には分かりません。ただ「わたしが示す地」との神の約束があるのみです。

未知の所に行くには、地図や計画があってもよさそうですが、それがないのです。新約のヘブライ人の手紙にはアブラハムは「行く先も知らずに出発したのです」(11章8節)とあります。信仰によって生きるとは、自分の計画やプログラムによって生きることを断念することであります。求められることは、神に従うかどうかという決断のみです。計画やプログラムを信仰に持ち込むなら、人間の信念にはなるでしょうが、信仰とはほど遠い生き方になってしまいます。神の約束は、かならず成るとの信頼が決断を生む勇気の源です。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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