あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。
ヨハネ8章7節(参考箇所同書8章1〜11節)
姦淫(かんいん)の罪を犯した者は石打ちの刑を受けなければなりませんでした。人々は、姦淫の現場で捕まった女に石を投げようとしたのです。
掟に従って罪を裁くことで起こった事態に決着を付ける、世間はこの論理を疑うことはありません。しかしイエスは人間の問題はそれでは決着が付かないことを教えられました。
目を転じて、石を投げる者自身はどうなのかと問われるのです。「罪を犯したことのない者が、まずこの女に石を投げなさい」。この問いによって、人々は罪は石を投げることでは、決着が付かないことを知らされます。一人去り、二人去って、女とイエスがその場に残されます。
「だれもあなたを罪に定めなかったのか」。「主よ、だれも」と女は答えます。イエスは「わたしもあなたを罪に定めない」と言われます。だれも石を投げる者はいないということは、決着が付いていないのです。それに代わって「わたしも・・・」と言われるお方が、女の前に立っておいでになります。「わたしも・・・」と言われるお方は、女の罪を引受けて死んでくださるお方です。女がそれを知る、知らないにかかわらず、女の罪を引き受けて、死んでくださる方がおいでになるのです。