さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。律法の専門家は言った。「その人を助けた人です。」そこで、イエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい。」
ルカ10章36〜37節(参照箇所同書10章25〜7節)
有名な善いサマリア人のたとえ話に関連した一節です。もともとこのたとえ話は、律法の専門家が「では、わたしの隣人とはだれです」(29節)とイエスに尋ねたことから始まっています。それに応じてイエスは「善いサマリア人」の話をされたのでした。話の後、「だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったか」(36節)と彼に問いかけ、「その人を助けた人です」と尋ねた本人が答えている箇所です。
「だれが」の答えはもちろんサマリア人を指します。サマリア人とは、ユダヤ人にとっては軽蔑の対象であり、その住む土地には足も踏み入れないほどでありました。隣人というには、最も隣人ではあり得ない人を指して「その人を助けた人です」と律法の専門家は答えました。「追いはぎに襲われた人」とはもちろんユダヤ人のことであり、引いては彼自身を象徴します。
律法学者から見て、隣人ではあり得ないサマリア人を、「わたしの隣人」であると彼は言っているのです。知らずして真実を告白する、不思議さを感じます。もし知って告白するなら、この律法の専門家は、主イエスに向かって「あなたこそわたしの隣人です」と答えたにちがいありません。