みことばに生かされた人生の総決算の書
〈評者〉坂井純人
みことばの楽しみ
詩篇119篇に徹して聴く
山口勝政著
新書判・236頁・1320円・ヨベル
一キリスト者の生涯の中で詩篇の中でも最長の119篇から、全節を連続講解説教で聴く機会は、そう多くはないのではないだろうか。牧師としても相当の覚悟と準備が必要である。今年78歳になられる著者は、ご自身の長年の伝道者としての歩みの総決算としての慰めを、詩篇119篇から得ておられる。本書はアクロスティックの手法で知られるヘブライ語の22のアルファベットによる分類と8行ごとのみことばの解説を19章に分けて、実に見事に簡潔な内容に纏めている(サメク・113節─120節とツァーデ・137節─144節は略)。
本書執筆の動機を著者は、1、神のみことばへの信仰の徹底。2、真の福音がもたらす、みことばに生きる喜びを回復すること。3、現代人の傷つき、病む心の中に潜む病理をみことばによって、回復に導く道を示すこと、と明示する。詩篇119篇の中には、これらのすべての要素が含まれている。(つづく)