2011年より毎年行われてきた、教会・団体・企業・学校・サークル・個人のためのフリーマーケット「いのり☆フェスティバル2020」(略称:いのフェス)が2020年12月26日、6時間にわたって開催された。キリスト教につながるさまざまな人々が、教団・教派などあらゆる枠を超えて一堂に会する教会版“コミケ“として知られている。
2020年のテーマは「つながれ、世界!!~祝宴(クリスマス)は終わらない」。これまで東京、名古屋、岡山など全国各地で開催されてきたが、コロナ禍を受けて初のオンライン開催となった。午後1時から7時まで、長時間にわたる生配信となったが、アメリカ、イギリス、イスラエル、南アフリカとリアルタイムで中継をつなぎながら、コロナ禍ならではの多彩なトークイベントとなった。
オープニングには、現在、米ミネソタ州ミネアポリスの病院でチャプレンとして働く関野和寛さん(日本福音ルーテル教会牧師)が登場。ポケベルが鳴ったら即座に病室へ行かなければならないという緊迫感ある状況の中、コロナ患者と向き合う日常について語り、弾き語りライブを披露した。
「動画でつなぐ 集まれYouTuberの森」では、ともみん(会いに行くキリスト教会牧仕)やセイントお姉ちゃん(同志社大学卒業生&在学生姉妹)、ジャパン・ミッション・チャンネル(南アフリカ在住・改革派神学生)の、コロナ禍を前後して新たに発信を始めた3人のクリスチャンYouTuberに、お坊さんYouTuberとして人気を集める「仏心チャンネル」の武田正文さん(高善寺副住職)が加わり、YouTube配信の可能性や、それぞれが抱える課題などを情報交換。
「宗教をつなぐ 世界のコロナ禍と宗教事情」では、キリスト新聞の連載「宗教リテラシー向上委員会」執筆者が集結。山森みかさん(イスラエル・テルアビブ大学講師)、川島堅二さん(東北学院大学教授)、池口龍法さん(龍岸寺住職)、ナセル永野さん(日本人ムスリム)、與賀田光嗣さん(イギリス・立教英国学院チャプレン)と、国も宗教も超えた5人が集い、それぞれが置かれた状況や、礼拝やさまざまな活動のオンライン化など、これからの教会のあり方について話し合った。
「メディアをつなぐ 雑誌「中の人」ぶっちゃけ放談会」では、堀真悟さん(新教出版社『福音と世界』編集者)、宮田真実子さん(いのちのことば社『百万人の福音』編集長)、林牧人さん(日本キリスト教団出版局『信徒の友』編集長)、原敬子(オリエンス宗教研究所『福音宣教』企画委員)さん、松谷信司さん(キリスト新聞社『Ministry』編集長)とキリスト教メディアの編集者が集まり、ここでしか話せない本音トークを展開。企画立案や執筆者探しの苦労、ノンクリスチャンにも読まれる雑誌になるための工夫などをテーマに語り合った。
このほか、スペシャルゲストとして、上馬キリスト教会twitter部の横坂剛比古(MARO)さんも登場。これまで「いのフェス」の名前を知りつつ距離的な都合で参加できなかったという信徒らも含め、約60人の参加者がYouTubeを介して豪華ゲスト陣による“ぶっちゃけ”トークを満喫した。
今回、6時間にわたって司会を務めた、「いのフェス」実行委員会代表の松谷さんに話を聞いた。
――今回のいのフェスを企画、主催する上でもっとも苦労した点は?
これまでの「いのフェス」は、キリスト教関連の創作物などを持ち寄ったフリーマーケットをメインとしてきましたが、今回は初のオンライン開催ということでゲストを招いたトークセッションを中心に企画しました。6時間の長丁場でも飽きられないよう、テーマ設定のバリエーションやゲストの地域的、教派的バランスを確保することを心がけたつもりです。YouTubeライブでの長時間配信は初めてだったので、本番直前まで技術的な調整に時間がかかり冷や汗をかきましたが、音響スタッフとして協力していただいたイクトゥス・プロジェクトに助けられ、何とか乗り切ることができました。
――実際にオンラインでやられてみていかがでしたか?
コロナ禍の前からオンラインでの情報発信には挑戦してきましたが、改めてリアルの枠では収まらない可能性の大きさを実感しました。結果的に世界5カ国を同時中継でつなぎ、ユダヤ教、仏教、イスラム教の事情もわずかながら知ることができたことは、想定以上の成果です。来年は10年目の節目を迎えるので、次回も「いのフェス」にしかできない楽しくてためになる企画を考えたいと思います。
*過去の「いのフェス」で開催されたステージ企画の数々は公式チャンネル「いのフェスチャンネル」で視聴できる。