人間は攻撃理由をでっちあげる生き物です。【聖書からよもやま話169】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
今日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章を読んで、僕の心に浮かんだ事柄を、ざっくばらんに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、  ネヘミヤ記の6章です。それではよろしくどうぞ。

◆ネヘミヤ記 6章8節

「あなたが言っているようなことは、なされていない。それはあなたが心の中で勝手に考え出したことだ」と。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

ネヘミヤがエルサレム神殿の復興工事に頑張っていたら、それをよく思わない人たちが「ネヘミヤは王になろうとしている」とか「預言者を利用して悪だくみをしている」とか噂を流しました。そしてその噂にもとづいて「だから話し合いをしよう」と言ってネヘミヤの工事の手を止めさせ、あわよくばその話し合いの場でネヘミヤを殺そうとさえしました。しかしネヘミヤは「それはあなたたちが勝手にでっちあげたことで、まったく事実無根である」とそれには応じず、そのまま工事を続けました。

・・・なんか似たようなことを近頃テレビのニュースでみますよね。ロシアのプーチンさんが「ウクライナのゼレンスキー大統領はネオナチだ」とか「核兵器や化学兵器を開発している」とか「ロシア系住民を虐殺している」とか、あれやこれやと無理矢理な理由をつけてウクライナに攻め込みました。「和平交渉には大統領本人が来い」と要求して暗殺してしまおうなんて計画もあったとか。
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プーチンさんに限らず、人間は敵対する人に対してあれやこれやと理由をつけて攻撃します。「こんなことをしているに違いない」「あんなことをしているはずだ」「だったらこんなことをしている可能性も否定できないと思う」ひどい時には「こんなことをしたということにしてしまおう!」・・・と、さまざまな「論拠」をつけて攻撃します。攻撃する人にとって、その「論拠」はでっちあげでも何でも構いません。最終的に「双方の言い分があるんだからどっちもどっちだよね」という世論を形成してしまえば、最初のでっちあげもウヤムヤになりますから。でも、「論拠」をでっちあげられて攻撃された方はたまりません。火のない所に煙を立てられた挙句「どっちもどっち」なんて言われるんですから。あまりに理不尽です。

そしてもしそんな「論拠」によって攻撃を受けた時はネヘミヤのように毅然と「そんなことはない!」と答えて、自分の仕事に邁進すれば良いと思います。そんな時、日本人はついつい「そんな噂は無視しておけばいい」なんて思ってしまいがちですが、そうするとその噂や相手の要求がエスカレートしたりしますから、無視するのではなく「そんなことはない!」と明確に否定することが必要なのかと思います。

嫌な世の中です。理不尽です。聖書には、人間のそんな理不尽な姿も赤裸々に描かれています。でもこれを「そうだよね、プーチンは悪いやつだ」とか「そんな人いるよね、いやだねー」と他人事で済ませては本当に聖書を読んだことにはなりません。聖書に描かれている人の罪の姿は、そのまま自分の罪の姿でもあります。もしかして自分も「でっちあげの論拠」によって誰かを攻撃したり排除したりしてしまっていないか、自分の胸に手をあてて思い返してみることも必要かと思います。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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