コロナ禍で330万人の少女が児童婚の危機 「国際ガールズ・デー」でワールド・ビジョンが報告書

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、10月11日に国際ガールズ・デーを迎えるにあたり、報告書『COVID-19 AND CHILD MARRIAGE(新型コロナウイルス感染症と児童婚)』を発表しました。数百万人の子どもたちが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で貧困に陥り、飢餓が増加する、教育を受けられなくなる等し、児童婚を余儀なくされていることが報告されています。

報告書の概要

  • 過去4週間のうちに空腹のまま就寝した子どもは、空腹を感じずに就寝した子どもよりも、結婚する可能性が60%高い
  • 危機的レベルの飢餓を経験している子どもの数は、2019~2020年の間に1,200万人増加した。これは、さらに330万人の子どもたちが18歳までに結婚する可能性があることを意味している
  • 学校に通っていない子どもは、学校に通っている子どもよりも結婚する可能性が3.4倍高い
  • インタビューに回答した子どもたちの82%は、パンデミックが始まった後に結婚している
  • ※報告書全文はこちら(英語)外部リンク

報告書『COVID-19 AND CHILD MARRIAGE』は、世界的なパンデミックの影響によって強制的に結婚させられる子どもたちについて調査しています。世界的な飢餓水準が劇的に上昇するにつれ、児童婚の割合も高くなり、お腹を空かせた子どもはそうでない子どもよりも結婚する可能性が60%高いことを報告しています。

「SDGsのターゲットには2030年までに児童婚を撤廃することが掲げられていますが、進展は遅いままです。パンデミックによって貧困や飢餓が増加し、教育機会が失われ、少女たちは結婚させられるリスクが高まっています。ここでも、少女たちが危機の矢面に立たされています。多くの少女が教育の機会を奪われ、結婚を余儀なくされており、なかには2倍以上の年齢の男性と結婚しなくてはならない少女もいます」と、ワールド・ビジョンのアドボカシー・渉外担当、デイナ・ブズセアは述べます。

本報告書は、児童婚の割合がすでに急激に高くなっていることを明らかにしています。2020年には、児童婚の割合が過去25年間で最大となりました。ワールド・ビジョンのデータによると、2020年3~12月の間に、多くのコミュニティで2019年と比較して児童婚が2倍以上になりました。2021年4~6月にかけてアジア太平洋地域9カ国の子どもとその家族を対象に実施したインタビュー調査では、結婚していると答えた子どもの82%はパンデミックが発生した後に結婚していました。

報告書『COVID-19 AND CHILD MARRIAGE』

また本報告書は、学校の閉鎖が児童婚に与える影響にも焦点を当てており、現在学校に通っていない子どもは、現在学校に通っている子どもよりも結婚する可能性が3.4倍高いことを明らかにしています。「新型コロナウイルス感染症の影響で、小学生や中学生の少女500万人が教育を受けられない可能性があります。これらの少女たちは、児童婚の高いリスクにさらされています」とブズセアは警鐘を鳴らします。

「飢餓、貧困、教育へのアクセス等、児童婚を誘発する根本原因に早急に対処しなければなりません。新型コロナウイルス感染症の経済対策に焦点を当てている各国政府は、パンデミックの余波に苦しむリスクにさらされている、世界で最も弱い立場にある子どもたちの保護にも優先度高く取り組まなくてはなりません。貧困と飢餓に苦しむ数百万人もの子どもたちの親が、どの子どもを手元に置き、どの子どもを結婚させるべきかという恐ろしい選択を迫られています。私たちは、児童婚の強制を許すことはできません。世界には、子どもたちが結婚を強いられることなく、すべての人が食事をすることができ、教育を受けられるだけの十分な資源があるはずです。私たちは児童婚を防ぐために、今、行動しなくてはなりません」とブズセアは訴えています。

 

 






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