TORCHプレ大会 キリストの灯火を次世代に

 

宣教大会「TORCH2018」(6月16日)を前に、5月12日、プレ大会が上野の森キリスト教会(東京都台東区)で開催された。会場となった礼拝堂は開場後まもなく満席となり、大型モニターを備えた準会場も続々と席が埋まるほどの盛況ぶり。

TORCH2018は、「バトンタッチ──bridge for all generations」という信仰継承をテーマにした超教派のイベント。70代の大川従道氏(大和カルバリーチャペル主任牧師)と岸義紘氏(ミッション2001伝道者)の若者への招きに、次世代を担う30代の田所慈郎氏(日本基督教団・富士見丘教会主任牧師)や塩谷達也氏と美和氏(ゴスペルシンガー)らがメッセージや音楽で応答する。司会は眞島亨氏(ニューホープ横浜主任牧師)で、会場はウェスレアンホーリネス教団・淀橋教会。

シンガー・ソングライターのKenta Dedachiさん(18)は本大会の音楽ゲストだが、プレ大会でもその歌声を披露した。司会は12歳の中橋恵(めぐ)さん。Kentaさんと中橋さん、二人の10代クリスチャンを起用したのは、未来への日本宣教の希望を表すためだったという。

Kenta Dedachiさん=5月12日、上野の森キリスト教会(東京都台東区)で

Kentaさんはインターナショナル・スクールに通う、日本語と英語を操るバイリンガルだ。ユーチューブで動画をアップすると、そのギターの弾き語りと繊細なボーカルにじわじわと人気に火がつき、チャンネル登録者は1万5000人以上(6月現在)。また、英語での賛美も多く、外国人ファンもその歌に聴き入っていた。

Kentaさんは、自ら手掛けた「Freedom」という楽曲を披露。この曲を作ったきっかけを次のように話した。

「日本は、自殺率の高い国。とても豊かな国だけど、心が疲れている人や、何かにとらわれている人が多い。この国に必要なのは、神様の言葉。福音を通して、疲れている人々に癒やしを与え、自由を与えたい。まだ神様を知らない人にこの良い知らせを届けたいと思って、この曲を作った」

中村譲氏=5月12日、上野の森キリスト教会(東京都台東区)で

この日、メッセージを取り次いだのは中村譲氏(飯能の山キリスト教会牧師)。本大会では、中村氏とDown to Worship賛美チームが賛美と祈りを担当する。

中村氏はまず次の聖書箇所を取り上げた。「不当な苦しみを受けることになっても、神がそうお望みだとわきまえて苦痛を耐えるなら、それは御心に適うことなのです。罪を犯して打ちたたかれ、それを耐え忍んでも、何の誉れになるでしょう。しかし、善を行って苦しみを受け、それを耐え忍ぶなら、これこそ神の御心に適うことです」(1ペトロ2:19─20)

「私たちが苦しみや悲しみの中にある時も、神様は常に、いつもそこにいてくださる。『苦痛を耐え忍ぶ』とは、『独りで、ただ苦しみの中にいなさい』ということではなく、『苦痛や悲しみを神様にゆだねなさい』ということ。神様は、私たちがつらい時もいつもそこにいて、その悲しみや痛みを受け取ってくださる方だということを覚えていてほしい。そして、恵みを注ぎ、あなた自身を受け止めてくださる方。その先には必ず希望と喜びがある。

苦しみを受けた時に、自分の力でそれを乗り越えようとしたり、安易に解決策を模索したりすることは、私たちがすべきことではない。罪のない生活、苦しみのない生活を目指すことが私たちの務めではなく、絶望が絶望で終わらないことを知ること、これこそクリスチャンである私たちのやるべきことだ」

そして、続く21節を示した。「あなたがたが召されたのはこのためです。というのは、キリストもあなたがたのために苦しみを受け、その足跡に続くようにと、模範を残されたからです」

「その足跡に続くためには、自分たちの足だけでは歩くことはできない。聖霊の導きによって促され、イエス様がしっかりと私たちを抱きかかえて歩ませてくださっている。それは、私たちが設定した成功への道ではなく、神様が示された道。

私は飯能の山奥で木を燃やすことがある。その時に必要なのは灯火(ともしび)。大きな火でなくてもよい。小さな火種でよいから、灯火が一つあることはとても大切。私たちの伝道も同じ。がっちりと強い大きな信仰である必要はない。静かに燃える信仰、灯火のような信仰があれば、それがやがて隣の木に移り、またその隣の木に移っていく。そして、やがてキリストの愛の炎が町中に広がることになる」

Kentaさんは、TORCH本大会へ向け、このように呼びかける。

「このTORCHというのは、次世代にバトンを渡すというテーマで、僕もバトンを渡された一人だと思っています。僕は日本に生まれ、牧師家庭で育てられてきて、今までたくさんの人の証しを聞き、たくさんのクリスチャンに影響を受けて学んできました。まだまだ自分は学ぶことがたくさんあって、成長しないといけませんが、神様はどんなことでも用いられる方なので、それを信じて、いま自分に与えられたものを使って神様のことを賛美していきたいと思います。バトンを渡された者として神様を賛美しつつ、他の人にもこのバトンを渡していきたいです」

守田 早生里

守田 早生里

日本ナザレン教団会員。社会問題をキリスト教の観点から取材。フリーライター歴10年。趣味はライフストーリーを聞くこと、食べること、読書、ドライブ。

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