上智大学、カトリック大学による大事典「新カトリック大事『展』」開催中

上智大学(東京都千代田区)で、企画展「新カトリック大事『展』」(主催:同大神学部・新カトリック大事典編纂室)が開催されている。10月22日(金)まで。入場は無料。

新カトリック大事典(全4巻+索引・別巻)(画像提供:新カトリック大事典編纂室)

『新カトリック大事典』(全4巻+索引・別巻)は、現代の開かれたカトリック教会の立場で、キリスト教の思想・歴史・文化を宗派の枠組みを越えた包括的な視点から捉えなおした大事典。カトリックはもとよりキリスト教全般、さらには関連する諸分野などの広範囲におよぶ。総項目数は1万5,000。執筆には専門家900人があたり、その全てが書き下ろし原稿によるもので、編集作業には30年余の年月が費やされた。

手書きの原稿(画像提供:新カトリック大事典編纂室)

上智大学が1977年に企画を開始し、79年に新カトリック大事典編纂委員会を発足。96年に第1巻が刊行され、98年に第2巻、2002年に第3巻、2009年に最終巻となる第4巻が刊行された。その後、2010年に人名・地域名を中心とした各項目の補遺、および一覧表や年表などの資料集から別巻が出版。さらに、2016年には『新カトリック大事典』電子版を刊行し、現在ではKOD(研究社オンライン・ディクショナリー)供用での利用も可能で、研究者や学生に広く利用されている。

「新カトリック大事『展』」では、この大学出版事業としては稀有(けう)な存在ともいえる同事典の魅力をあますことなく紹介する。

展示会場は、6号館1階展示スペース3と図書館の2箇所。6号館は、2017年に竣工した通称「ソフィアタワー」で、1階展示スペース3に常設展示と企画展示のためのウィンドウが設置されている。これまでに7つの企画展が行われてきたが、2020年度はオンラインのみによる展示で、実際の企画展示は久しぶりとなる。

推敲の跡が残るオリジナル原稿(画像提供:新カトリック大事典編纂室) 

ここには、1940年から60年に出版された同事典の前身である『カトリック大辞典』(全5巻)を含む年譜パネルの展示と共に、モニターでも大事典の成り立ちを紹介する動画が流されている。さらに、教皇ヨハネ・パウロ2世とベネディクト16世から編纂室に贈られた祝辞入りの写真や、両教皇に謁見し、大事典を献呈する第2代編集長の高柳俊一(たかやなぎ・しゅんいち)名誉教授(イエズス会師)の写真などを公開。

一方、図書館1階では、困難を極めた編集過程や新聞・雑誌の報道の様子に加え、貴重な手書きのオリジナル原稿などを紹介。他の百科事典と比較ができるコーナーも設けている。また、それぞれの会場で、両方の展示を見ながら解くクロスワード問題を配布し、楽しみながら見てまわることができる。

主催する新カトリック大事典編纂室で編集実務委員を務める石原良明(いしはら・よしあき)さん(同大神学部非常勤講師)は、同展の見どころについて次のように話す。

まず、こういう出版プロジェクトが存在していたということを知っていただきたいです。上智大学だからこそできた出版プロジェクトでしたし、カトリック大学による大事典という、大きな特色があります。実際の大事典はよりエキュメニカルな企画でもありましたが、今回の展示では、イエズス会的な事業であったこと、上智大学ならではの百科事典であることを強調しています。ローマとのつながりもその一つです。

また、実際に編集作業に用いた原稿類の展示や、編集過程の説明をしています。中でも記念碑的な項目記事をご覧いただけます。パソコンが普及する前の編集業務を見ることが出来ますから、昭和レトロも感じられるかもしれません。そうした、地道な作業の積み重ねを感じていただければ幸いです。

企画展「新カトリック大事『展』」
会期:8月7日(土)~ ※図書館の会期は10月22日(金)まで ※図書館の開館日、開館時間はこちらから 
主催:新カトリック大事典編纂室
問合せ先:総務局広報グループ 電話:03・3238・3179

 

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