教皇フランシスコ、来年3月にイラク訪問 歴代教皇で初めて

ローマ教皇庁(バチカン)は7日、教皇フランシスコ(83)が来年3月5〜8日の日程で中東のイラクを司牧訪問すると発表した。教皇がイラクを訪れるのは歴代で初めてで、バチカンは「歴史的な訪問になることは間違いない」と説明する。イラク外務省も同日、歓迎する声明を出した。

教皇フランシスコ(右)とイラク大統領が面会したバチカン・ニュースの記事

教皇は4日間にわたるイラク訪問において、首都バグダッドや、北部のクルド人自治区の主都アルビールのほか、2014年から17年にかけて過激派組織「イスラム国」(IS)が最重要拠点としたニネベ平野のモースル、イラク最大のクリスチャンの町カラコシュ、旧約聖書に登場する父祖アブラハムの生まれ故郷で、ここからカナンの地に旅立ったユーフラテス下流のウルなども訪問する予定。訪問の詳細な日程は後日発表されるが、パンデミック危機の状況により変更が生じる可能性がある。

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バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長の声明によれば、これはイラク政府と同国のカトリック教会の招きに応えて行われるもの。教皇フランシスコにとっては、2019年11月の訪日以来、15カ月ぶりの海外訪問となる。また昨年、教皇として初めてアラビア半島のアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。

教皇は長い間、イラク訪問の希望を表明しており、昨年6月には次のように語っていた。「私はいつもイラクのことを考え、来年には訪問したいと思っています。地域紛争によって引き起こされる敵対関係に再び引き戻されることがないよう、宗教を含め、社会を構成するすべての人々と共に平和的かつ共有的に共通善を追求することを通して未来が開かれていくことを願っています」。ただ、新型コロナ・ウイルスの世界的感染拡大により、教皇は外遊を見合わせていた。

故ヨハネ・パウロ2世(1978~2005年在位)が1999年の終わりにイラク訪問を計画していたが、数カ月の交渉の後、サダム・フセインがそれを延期することを決定したため、またイラクに対する核査察問題などで米ロの対立が深まる中で見送られた。

ルイス・ラファエル・サコ枢機卿(写真:ÖsterreichischesAußenministerium)

イラクのカルデア典礼カトリック教会のバビロン総大司教であるルイス・ラファエル・サコ枢機卿はこう語る。「教皇フランシスコはイラクへの熱狂的な歓迎を受けるでしょう。イラクの誰もが、クリスチャンもイスラム教徒も、教皇の飾り気のなさと親しみやすさによって彼を尊敬しています。彼の言葉は羊飼いの言葉なので、みんなの心に響きます。彼は平和をもたらす人です」

教皇は今年の1月25日にイラクのバルハム・サリフ大統領にバチカンで面会し、イラク訪問について話し合った。そのとき、「国内のクリスチャンの歴史的存在を維持すること」と「彼らの安全とイラクにおける将来の居場所を保証する必要性を強調すること」について話したという。

イラクのクリスチャンは過去20年間で劇的に減少した。2003年のイラク戦争で、米国主導の有志連合がサダム・フセインを追放するため侵入する前には、国内に約100万~140万人のクリスチャンがいたが、長期戦とイスラム国による占領によってクリスチャンの数は30万~40万に減った。その後、イラクの大統領と首相は、国を逃れたクリスチャンを帰国させ、国の再建を支援するよう、しばしば招いた。それでも回復の夢は、経済危機や汚職、および170万人の国内避難民の窮状によって妨げられてきた。

ユニセフ(国連児童基金)によると、約400万のイラク人が人道支援を必要とし、その半分が子どもであると推定されている。新型コロナ・ウイルスのパンデミックを加えると、3800万人以上の状況は悲惨なままだ。その意味で、来春に教皇フランシスコがイラクを訪問することは、この長く苦しんでいる国に確かで新鮮な希望をもたらすと思われる。

 

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