日本のキリスト教化に失敗したマッカーサー元帥

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◆1880年1月26日 ダグラス・マッカーサーの誕生日

ダグラス・マッカーサーさんはアメリカの軍人で、第二次世界大戦で敗北した日本を1952年まで統治したGHQの最高司令官として1951年まで日本の実質上の最高権力者であった人物です。

自身も熱心なプロテスタント信徒だったこともあり、日本を統治するために、また、その後も長く平和路線を保たせるためには、日本をキリスト教国化することが必要だと考え、その統治中に2500人もの宣教師を日本に入国させたり、1000万冊の日本語訳聖書を配布したりと、多くの予算と人材をこのプロジェクトに投入しました。このことは「信教の自由」や「政教分離原則」に反すると、アメリカ本国からも日本のクリスチャンからも批判されもしましたが、マッカーサーさんは「特定の宗教に弾圧を加えているわけではない」と、反対意見を一蹴しました。

しかし、それで彼の統治中に日本のクリスチャンが増えたかと言うと、むしろ1947年には戦時中よりも減少してしまいました。1951年には戦時中と同じか、少し多いくらいまでにはなったようですが、「日本のキリスト教国化」を目指したこの計画はほぼ完全に失敗に終わったと言えます。

この失敗の背景には日本人にとってキリスト教は「占領軍の宗教」でしかなかったことが挙げられます。「あれはアメリカ人の信じている神様であって、自分達とは関係ないものだ」と多くに人に認識され、配布された聖書はタバコを巻く紙として使われてしまうこともあったんだとか。

この失敗はしかし、多くのキリスト教国を驚かせました。国を占領・統治した状態で、予算も人材も十分に注ぎ込んだにもかかわらず、ここまでの失敗を見た宣教の例は、他になかったからです。今でも日本は「世界で最もキリスト教宣教の難しい国」と言われています。
しかし、まったく意味がなかったわけではなく、現在の国際基督教大学は当時のマッカーサーさんの尽力によって建てられました。また今でも当時日本にやってきた宣教師たちをルーツとする教会が脈々と息づいています。

ちなみにマッカーサーさんは当時の日本人には人気があったようで、彼のことを親愛をこめて「松笠さん」なんて呼ぶ人もいたんだそうです。

それではまた明日。

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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