大庭貴宣著 エイレナイオスの聖霊神学(大貫隆)【本のひろば.com】

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評者: 大貫隆

神学的貢献の可能性とその限界を鮮明にし、今後にも期待する一書
〈評者〉大貫 隆


エイレナイオスの聖霊神学
2世紀に解き明かされた
三位一体と神化

大庭貴宣著
A5変型判・288頁・定価2530円・ヨベル
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本書は二〇一七年春に南山大学大学院人間文化研究科に提出された学位申請論文に基づき、その後新たに序論、最終第五章、結論を書き下ろして増補したものである。後二世紀のリヨンの司教エイレナイオスが『使徒的宣教の証明』と『異端反駁』で構築した救済史の神学を聖霊論の観点から詳細に記述しようという意欲的な試みである。
第一章「エイレナイオスにおける〈神の両手〉の置き換えの思想 ─ 〈御言葉と知恵〉から〈御子と聖霊〉へ」では、先達の教父から〈神の両手〉としての〈御言葉(logos)と知恵(sohpia)〉の観念を受け取ったエイレナイオスがそれを〈御子と聖霊〉へ置き換えたのだとされる。その意図は〈肉の救い(を)軽視〉し、〈御父以外の別の神の存在を主張〉するグノーシス主義を反駁して、人間が〈神との類似性〉へ完成されるべきこと、そして〈御父の優位性〉を示すことであったとされる。

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#本のひろば #書評 #大貫隆 #三位一体

 






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