カトリック東京大司教区、聖週間の典礼を今年は実施

カトリック東京大司教区の菊地功(きくち・いさお)大司教は、緊急事態宣言が解除された初日の22日、同教区の信者に向けて「緊急事態宣言解除を受けて」と題した文書を発表した。新型コロナ・ウイルスの感染拡大の影響で昨年は聖週間の典礼を実施できなかったが、今年は実施する予定と通知した。

カトリック東京大司教区の菊地功大司教(©古郡美はる)

28日(日)の受難の主日(枝の主日)から聖週間(受難週)が始まる。イエスがエルサレムに入城してから十字架につけられるまでの受難を味わう1週間を、カトリックでは「聖週間」と呼び(プロテスタントでは「受難週」)、1年間の典礼暦のクライマックスを迎えることになる。

特に4月1日(木)の「主の晩さんの夕ベのミサ」から「聖なる3日間」が始まり、2日(金)の「主の受難」、3日(土)「復活の聖なる徹夜祭」と、1年で最も多く人々が教会に集う時だ。そして4日は「復活の主日」(イースター)。

文書の中で菊地大司教は、「昨年は実施できなかった聖週間の典礼ですが、今年は、現時点では実施する予定です」と述べた。ただし通常どおりではなく、全員での行列や洗足式の中止など、典礼においてはさまざまな臨時の変更や制約があるとしている。

3月28日からの聖週間に関しては、今年もバチカンからの感染対策の指示が出ており、小教区の司祭には、東京教区としての典礼ガイドラインをすでに配布いたしました。昨年は実施できなかった聖週間の典礼ですが、今年は、現時点では実施する予定です。ただし、全員での行列や洗足式の中止など、典礼においてはさまざまな臨時の変更や制約があることをご承知ください。これについては、主任司祭からの指示に従ってくださいますようにお願いいたします。

「昨年は実施できなかった聖週間の典礼」とあるが、菊地大司教は昨年の3月24日、「新型コロナ・ウイルス感染症に伴う3月30日以降の対応」と題した文書を発表。「当面の間、東京教区のすべての信徒を対象に、主日のミサにあずかる義務を免除します」、「当面の間、不特定多数が参加する公開のミサを原則として中止します」と通知した。その代わり、東京カテドラル聖マリア大聖堂(カトリック関口教会)での聖週間の典礼がユーチューブでライブ配信された。

昨年の聖週間は今年より1週間あまり遅く、「枝の主日」は4月5日(日)で、12日の「復活の主日」(イースター)の前日までだった(復活の主日イースターの日付が「春分の日」の後の最初の満月の次の日曜日とされており、年によって日付が変わる移動祝日のため)。ちょうど新型コロナ・ウイルスが全国的に急速にまん延していたことを受けて安倍晋三首相(当時)が東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県にが初めて「緊急事態宣言」を行ったのが4月7日で、16日にその対象を全国に拡大した時と重なっていた。

菊地大司教は文書の冒頭で次のように述べている。

今年は緊急事態宣言が、3月21日をもって解除されました。しかしながら状況は流動的で、今後も慎重に行動することが大切だと考えます。

今般の感染症の事態にあたり、この1年間、東京大司教区では「感染しない、感染させない」ことを念頭に、自分の身を守るだけではなく他の方々への十分な配慮をもってお互いのいのちを守るために、感染症の拡大に対応しながらさまざまな感染対策を実施してまいりました。現時点においては、亡くなられた信徒の方が少なからずおられることや、司祭や信徒で感染された方もおられるとの報告は受けていますが、教会活動を起源とした感染拡大は報告されていません。とはいえ、ワクチン接種も始まったばかりですし、まだまだ細心の注意を持って行動しなければなりません。

そして具体的には、「日本政府の緊急事態宣言再発出を受けて」(1月7日付)に記した対応から基本的に大きく変更はないが、次の点だけは変更するとした。

ミサ以外の、会議や会合、集い、勉強会などの対面の活動は、可能な限りオンラインとするものの、会場の収容人数や換気、時間(最大でも2時間以内)に慎重に配慮しながら、実施することも出来ることといたします。なお飲食を伴う行事は控えてください。

そして、「2021年3月22日以降におけるステージ3の対応」として以下の7点を挙げた。

1:聖堂内で互いに最低でも1メートルの距離を保つため、入堂人数を制限。それが不可能な場合、またミサ中に十分な換気ができない場合、聖堂を典礼に使うことはできない。ミサ後には順序よく退堂し、聖堂内での立ち話は避ける。

その追記として次のように書かれている。

聖堂内で距離を確保するための具体的な方法について、主任司祭の指示に従ってください。また、ミサのある教会を求めて、移動することをお控えください。ご自分の所属教会、または共同体の一員となっている教会の指示に従ってください。なお小教区は、感染が発生した場合に保健所の要請に応えるため、ミサ参加者の情報を把握します。情報の取り扱いには注意し、後日破棄します。

2:高齢者・基礎疾患のある人はできる限り自宅で祈ることを勧めるが、教会での年齢制限は行わない。主日のミサにあずかる義務は、教区内のすべての人を対象に免除する。

3:手指消毒など感染症対策を十分に行い、換気を保ち、しばらくの間は全員マスクを着用。

4:しばらくの間、ミサや集会などで聖歌を全員で一緒に歌い、祈りを一緒に声を出して唱えることを控える。オルガン独奏やマイクを利用しての独唱、広い空間があり換気ができる場合にごく少数の聖歌隊による歌唱は可能。

5:しばらくの間、ミサでの奉納を行わない。また聖体拝領は、必ず拝領直前に消毒した手で受ける。口での拝領を希望する人は事前に司祭に相談する。

6:ミサ以外の会議や会合、集い、勉強会などの対面の活動は可能な限りオンラインとするものの、会場の収容人数や換気、時間(最大でも2時間以内)に慎重に配慮しながら実施することもできる。飲食を伴う行事は控える。

7:「ゆるしの秘跡」については、衝立(ついたて)を使うなど飛沫(ひまつ)感染に留意する。フェイスシールドはマスクの代わりにはならないので、マスクを併用すること。2020年3月26日付の「一般赦免に関する使徒座裁判所内赦院からの通達に関して」の公示は現在も有効。

「付記」として、75歳以上の司祭でも司式や聖体授与を行え、聖体を授ける司祭や臨時の奉仕者は必ず直前に手指を消毒してマスクを着用、信徒に「聖体授与の臨時の奉仕者」を頼むことも主任司祭の判断にゆだねるとしている。

 






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