「徴用工解決案」の撤回求め日韓両聖公会が連名で声明

日本聖公会日韓協働委員会(磯晴久委員長)と大韓聖公会韓日共同委員会(朴東信=パク・ドンシン=委員長)は連名で4月9日、「不当な『徴用工解決案(日帝時代強制徴用解法)』の撤回を求めます」と題する声明を発表した。

声明では、「3月6日、被害者の願いを踏みにじった第三者による弁財方式で日韓関係の解消を一方的に発表した韓国政府は、未来の平和への歩みではなく、痛ましい歴史の誤謬を繰り返す姿であり、これを歓迎して強制徴用自体を否定する日本政府の対応を認めることはできません」と述べ、両国の真の和解の道は、「痛烈な反省と真なる謝罪が基盤」であると強調。徴用工問題の解決のためには、「日本側の強制徴用に対する謝罪と責任ある履行と、被害者との合意が前提とされなければならない」として、次の3点を求めた。

①韓国政府は、強制徴用に関わった日本の企業が参加しない第三者による弁償案を撤回すること。②強制徴用に関わった日本の企業と日本政府が、強制徴用被害者に謝罪し、法的な賠償を行うこと。③両国政府は被害者の苦痛と要求に応え、東北アジアの平和のために努力すること。

声明の全文は以下の通り。


不当な「徴用工解決案(日帝時代強制徴用解法)」の撤回を求めます。

日韓両聖公会は1984年から多くの社会的懸念があった中においても、心からの謝罪を基に共同プロジェクトなどを通じて過去の傷みを共有し癒しと和解に向けた、草の根レベルの日韓関係を形成してきました。この両聖公会の癒しと回復と和解の歩みは、アングリカン・コミュニオンにおいても、過去の植⺠地支配における葛藤の解決への新たな取り組みの事例として評価されています。

しかし、私たちは3月6日、被害者の願いを踏みにじった第三者による弁財方式で日韓関係の解消を一方的に発表した韓国政府は、未来の平和への歩みではなく、痛ましい歴史の誤謬を繰り返す姿であり、これを歓迎して強制徴用自体を否定する日本政府の対応を認めることはできません。両国の未来への真の和解の道は、痛烈な反省と真なる謝罪が基盤であり、それは変えてはならないと考えます。

植⺠地朝鮮時代の強制徴用の賠償問題は、すでに2018年韓国最高裁判所で非道徳的な不法行為として判決となり、被告の日本企業に賠償が命じられました。

これに対して日韓両聖公会は、被害者の同意なしに過去の痛ましい歴史を金銭的に簡単に解決しようとする非聖書的、非倫理的な歴史認識について深く憂慮し、今回韓国政府が発表したような解決方法は真の解決につながるものではないと考えます。

また、韓国政府の発表の背後には、平和を愛する多くの人々が懸念する日米韓の軍事同盟の強化を通じた新冷戦体制を築こうとする試みがあることに注目しなければなりません。これは東北アジアの軍事的緊張を高め、私たち皆を新たな脅威にさらすことになります。

日韓両聖公会は、これからも深い絆による協働の道を歩むために、日韓の間に横たわる徴用工問題の解決は、韓国政府の「第三者弁償案」ではなく、日本側の強制徴用に対する謝罪と責任ある履行と、被害者との合意が前提とされなければならないという認識を共有し、共に以下の事項を求めます。

・韓国政府は、強制徴用に関わった日本の企業が参加しない第三者による弁償案を撤回すること。

・強制徴用に関わった日本の企業と日本政府が、強制徴用被害者に謝罪し、法的な賠償を行うこと。

・両国政府は被害者の苦痛と要求に応え、東北アジアの平和のために努力すること。

2023年4月9日

大韓聖公会韓日共同委員会 委員⻑ 主教 朴 東信(パク・ドンシン、大韓聖公会釜山教区主教)
日本聖公会日韓協働委員会 委員⻑ 主教 磯 晴久(日本聖公会大阪教区主教)

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