教会役員への推薦、辞退してもよい? 塩谷直也 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

Q.教会役員の推薦を辞退したところ、「召しに応えなさい」と言われてしまいました。引き受けるべきですか?(50代・男性)

辞退の理由を教えてくださいませんか? もし「そんな力はない、自信がない、恥ずかしい、私なんかふさわしくない」との理由でしたら、そのようなあなただからこそ、「神が」あなたを選ばれたのでしょう。

教会役員の務めに、力技は危険。世俗で成功しているからとその力量とテクニックを教会運営に嬉々と用いて、破綻を来たしたケースは少なくありません。無力な人間が、恐る恐る神の支えを祈り求めて歩む、その戸惑いの営みこそ役員の日常。神は力ある人を用いません。たくさんの荷物を空のトラックに載せるがごとく、神は恵みの良き運び手として、力なき空の器を選ぶのです。

人は不思議に得意分野で失敗します。そして苦手な分野を意外と(?)堅実に片付けます。役員、苦手ですか? ならば大丈夫。どうぞ、お引き受けください。必要な力は、必要なときに与えられますから。ご安心ください。

しかしながら、次の理由でしたらご辞退ください。「過重な労働の中、精一杯のスケジュールをこなしている。これ以上、日曜の奉仕が入ったら倒れてしまう……」。実際に倒れるかどうかは別にして、現状でスケジュールがもはや自分の許容量を超えている、とのアラームがあなたの体から発信されているのであれば、役員就任どころの話ではありません。牧師に説明してください。

この申し出を一切受け入れない牧師、教会の雰囲気があるとしたら、一時的に礼拝の場所を変更してください。信仰さえあれば、どのような激務も乗り越えられると叱咤激励する、そして乗り越えられなければ、それはあなたの信仰が足りない、とみなす教会の姿勢はもはや正常な教会形成を逸脱しています。

確かにあなたの辞退で教会は揺れ動くかもしれません。しかし、そのような荒波をも超えて、教会という舟はイエス様を艫(とも)にお乗せして(マルコによる福音書4章38節)2000年間旅してきたのです。これからも大丈夫です。ご安心ください。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

しおたに・なおや 青山学院大学宗教部長、法学部教授。国際基督教大学教養学部卒業、東京神学大学大学院修士課程修了。大学で教鞭をとる傍ら、社会的な活動として、満期釈放を迎える受刑者への社会生活を送るための教育指導をはじめ、府中刑務所の教誨師として月1度ほど、受刑者への面談や講話を行う経験を持つ。著書に『忘れ物のぬくもり――聖書に学ぶ日々』(女子パウロ会)、青山学院大学の人気授業「キリスト教概論・Q&A」が書籍化された『なんか気分が晴れる言葉をください――聖書が教えてくれる50の生きる知恵』(保育社)など多数。

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