NCC ロシアのウクライナ侵攻に抗議 「侵攻の即時中止と平和の対話交渉への復帰を」

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ロシア軍がウクライナに侵攻したことを受けて日本キリスト教協議会(NCC)は2月25日、「武力侵攻を止め、平和の対話を」と題する声明を発表した。

声明は、市民も巻き込みながら多くの死亡者を出す流血事態となったことに対し「世界の人々と共に深い悲しみを覚え、大きな怒りを禁じえません」と強く非難。プーチン大統領が「ミンスク合意」の破棄を宣言し、ウクライナ東部の親ロシア派地域を「共和国」として独立することを承認したことを「遺憾」とした上で、30年の世界情勢を振り返りつつ「1991年の冷戦体制崩壊後、世界はその後も軍事力増大に依存した『安全保障』論にひそむ冷戦時代の相互不信と敵意の亡霊から解放されず歩んできたことを、平和の神の前にわたしたちは悔いずにおれません」と述懐した。

世界の教会と共に「ウクライナ侵攻の即時中止と平和の対話交渉への復帰」を訴え、「不信と敵意の思考と感情を克服し、キリストの平和の十字架の福音に堅く立ち」「軍事力増強に依り頼み、いのちと人権、そして民主主義を危機にさらす流れに抗いながら、神の国の平和の道を追い求め」るとの姿勢を改めて明示している。

声明の全文は以下の通り。


武力侵攻を止め、平和の対話を
―ロシアのウクライナ侵攻に対するNCC声明文―

日本キリスト教協議会は、ロシア軍がウクライナに対して武力侵攻を開始したことに対して強く抗議します。

プーチン大統領の判断のもとに、日本時間本日未明、ロシア軍はウクライナの軍事インフラや主要都市に向かって空爆やミサイル攻撃を開始し、また地上部隊や特殊部隊の展開を始めました。その結果、市民も巻き込みながら多くの死亡者を出す流血事態となり、ウクライナの避難民が国境を越え逃げまどっていることに、わたしたちは世界の人々と共に深い悲しみを覚え、大きな怒りを禁じえません。

プーチン大統領は、去る2月21日に、2014年にウクライナ南部クリミア半島問題をめぐり起こったウクライナ東部紛争の終結のためにつくられた「ミンスク合意」(2015年2月)の破棄を宣言し、ウクライナ東部の親ロシア派地域を「共和国」として独立することを承認したことを遺憾に思います。ロシアは、このミンスク合意に立ち帰らなければならず、また1994年にロシアがウクライナの独立と主権を尊重することを約束し署名した「ブダペスト覚書」を想起しなければなりません。

この驚愕のロシアによるウクライナ侵攻の事態を前に、わたしたちは世界のこの30年の歩みを振り返ります。1991年の冷戦体制崩壊後、世界はその後も軍事力増大に依存した「安全保障」論にひそむ冷戦時代の相互不信と敵意の亡霊から解放されず歩んできたことを、平和の神の前にわたしたちは悔いずにおれません。

「わたしの戒めに耳を傾けるなら、あなたの平和は大河のよう、恵みは海の波のようになる。」(イザヤ書48章18節)

わたしたちは、この度のロシアのウクライナ侵攻に対して沈黙してはならず、ロシアやウクライナをはじめ、世界のキリスト教会と共に、ロシア軍、またベラルーシ軍のウクライナ侵攻の即時中止と平和の対話交渉への復帰を訴えます。

わたしたちは、平和とは相いれず、世界を戦争へと転落させる不信と敵意の思考と感情を克服し、キリストの平和の十字架の福音に堅く立ち、紛争地域のみならず、わたしたちに身近な地域においても軍事力増強に依り頼み、いのちと人権、そして民主主義を危機にさらす流れに抗いながら、神の国の平和の道を追い求めます。

2022年2月25日
日本キリスト教協議会
議長 吉髙 叶
総幹事 金 性済

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