マカリック元枢機卿の性的虐待を歴代教皇が軽視=バチカン報告書 2020年11月11日

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バチカン(ローマ教皇庁)は11月10日、未成年者への性的虐待疑惑が持たれていたセオドア・マカリック元ワシントン大司教・元枢機卿=写真=に関するレポートを公表した。教皇フランシスコの委託のもと、国務省により作成された報告書は、完成まで2年を費やした。公設バチカン・ニュースが報じた。報告書は、歴代の教皇や教会幹部が虐待についての報告を軽視し、人事などで誤った判断を下してきた、との見解を示している。

国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿は、報告書の作成は、過去のあやまちを二度と繰り返さないための、真理の追究によって動かされたもの、と述べた。報告書からは、いくつかの動かしがたい点が浮かび上がる。まず、過去に犯された誤りについて。その過ちは、1人の犯罪責任者を、教会の位階において高い役務につけることを可能としてしまった。その誤りは、今後同様のことが繰り返されないようにと、すでに施行されている、新しい規則をもたらすことになった。

次に指摘されるのは、2017年まで、マカリック師(当時)による未成年者への虐待をめぐり、具体的な証拠を備えた告発はなかった、という点。未成年者をめぐる、十分な証拠の揃った最初の告発は、3年前のものであり、それによって直ちに教会法上の措置がとられた。そして、教皇フランシスコの決定により、まず同師の枢機卿の位が取り上げられ、その後、聖職からも解かれる結果に至った。

事件は、教会全体が学ぶべき痛ましい教訓を残すことになった。実際、2019年2月に開催された、「教会における未成年者の保護」のための司教会合後、教皇フランシスコによってとられたいくつかの対応の中には、未成年者への性的虐待のケースに関し、「教皇レベルの機密」を廃止するなどの処置が見られた。

パロリン枢機卿は、今回のレポートをめぐる声明で、「これは真理の追究に動かされたもの」と述べている。そして「苦しみには、希望の眼差しが伴います。このようなことが二度と繰り返されないためには、より効果的な規則と共に、心からの回心が必要です。福音を告げる、信頼に足りる司牧者たちが必要です。これらは、『私を離れては、あなたがたは何もできない』というイエスの言葉に信頼しつつ、ただ聖霊の恵みによってのみ可能であることを、私たちはしっかり自覚しなくてはなりません」と話した。(CJC)

By Copyright World Economic Forum (www.weforum.org)www.swiss-image.ch/Photo by Andy Mettler – Cardinal McCarrick – World Economic Forum Annual Meeting Davos 2008, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11835481

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