1月17日 正義を勝利に導くまで、彼は傷ついた葦を折らず、くすぶる灯心を消さない。 マタイ12章20節

イエスとは誰か

正義を勝利に導くまで、彼は傷ついた葦を折らず、くすぶる灯心を消さない。
マタイ12章20節(参考聖書箇所同書12章15〜21節)

マタイ福音書は、主イエスの働きをイザヤ書42章2節の引用をもって表わそうとしました。救い主は正義を勝ち取るにあたって、徹底して争うことのないお方でありました。争うことは力を揮うことに他なりません。彼は争うのでなく、愛することをもって正義を勝ち取るお方であります。愛するとは徹底して相手の存在を肯定し抜くことです。「傷ついた葦を折らず、くすぶる灯心を消さない」とは如何に敵が弱々しそうに見えようと、如何に相手が瀕死の状態にあろうとそれをもって勝利の糸口にしないということです。むしろその状態を愛の対象として働きかけるのであります。 愛するとは、一見優しさの表現のように見えます。しかし、そこには徹底して愛し抜く力と同時に自らも傷つくことを恐れない勇気が求められます。救い主イエスは、まさにそのようなお方としてこの世に来られたことをマタイは教えているのです。そして「傷ついた葦、くすぶる灯心」とは、わたしたちのことに他なりません。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

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