光はことばから生まれ、そしてそれは愛である。【聖書からよもやま話509】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、創世記の1章です。よろしくどうぞ。

 

創世記 1章3節

神は仰せられた。「光、あれ。」すると光があった。

(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

 

創世記の1章といえば、神様がひたすらこの世界を作る話です。空と海を作ったり、地面を作ったり、太陽と月と星を作ったり、植物と動物をつくったりと、神様はこの1章だけでこの世のあらゆるものを作ってしまいます。神様すごい。で、その中でも一番初めにつくったものが光です。天と地の境もない、空と水の境もない、そんな「混沌」の中に、神様の「光、あれ。」ということばによって光が生まれ、これがこの世で初めての「秩序」になりました。アインシュタインさんの相対性理論によれば、あらゆる物理法則は光を基準に運行しています。光がなければエネルギーも物体も存在できないということになります。つまり聖書に記してある、神様が最初に光をつくったという事実は、この視点から見ても極めて理にかなっているということができます。

ギリシア哲学では「愛」を「混沌」から「秩序」に向かうベクトル、「憎しみ」を「秩序」から「混沌」に向かうベクトルと定義します。たとえば家族というのは一種の秩序ですから、これを築く行為、結婚だとか出産だとか子育てだとかは「愛」、これを破壊する行為、家庭内暴力だとかモラハラだとか離婚だとかは「憎しみ」だということになります。光は物理学的にすべての「秩序」の根源ですから、つまり神様は「光、あれ。」ということばで、「愛」をつくったということ、最初に神様がつくられたのは「愛」だということもできるわけです。「光、あれ。」という、句読点を含めてもたった5文字のことばで、愛が生まれたんです。

そしてもう一つ、神様は「光、あれ。」ということばによって、光をつくったのですが、ということは、光が存在する以前に言葉があったということになります。ことばというのはギリシア語では「ロゴス」ですが、これは単に僕たちが今話したり書いたりする「言葉」だけでなく、「論理」や「摂理」と言った概念まで含む語です。ヨハネの福音書の冒頭に「初めにことばがあった。ことばは神と共にあった。ことばは神であった」とありますが、ことば=ロゴスというのは何よりも先、光よりも先、世界よりも先、おそらく宇宙よりも先に、存在していたということです。そしてそれそのものが「神」なんです。光をつくった後、神様は他のあらゆるものをも、ことばによってつくっています。

そして人間はことばを使います。これは地球上のあらゆる生命の中で、人間にのみ与えられた特権です。もちろん人間のことばは神様のそれのように完璧なものではありません。完成されたロゴスとは程遠いものです。しかし、人間がことばを使うということは、人間が神様の性質の一部を、それもかなり根源的な性質の一部を、神様に与えられて共有しているということです。だから人間は神様にははるか遠く及ばないとはいえ、何かを創造(クリエイト)することができるんです。0から1を生み出すことができるんです。

とはいえ人間は愚かですから、「秩序」を破壊する、すなわち「憎しみ」を創造してしまうこともあります。戦争やらいじめやら誹謗中傷やら、人間は「愛」を生み出すべきことばを正反対の方に用いてしまうことが多々あります。ことば、すなわち創造の能力をきちんと「愛」の方向に用いることができるように、常に自省し祈り続けることが必要なのかと思います。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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