善は急げ?善だからこそちょっと待て【聖書からよもやま話413】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、箴言の27章です。よろしくどうぞ。

箴言 27章14節

朝早くから、大声で隣人を祝福すると、かえって呪いと見なされる。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

いくら相手を祝福するからと言っても、たしかに朝早くまだ寝ているうちから「ハレルヤー!祝福がありますようにー!」と大声で叫んだら、祝福される側は困ります。「まだ寝てるよ!起こさないでよ!」とか「朝は忙しいんだから今はやめてくれよ!」とか思ってしまうでしょう。これは朝に限らず、夜中だって同じことでしょうし、もしかしたらランチタイムとか、仕事の忙しい時間とかにもあてはまるかと思います。

祈りや祝福など「相手のため」と思ってやることでも、相手の状況を無視してやってしまえば、かえって迷惑になってしまうこともあるということです。祈りや祝福は相手にとってよいことですけれど、それは相手の状況をきちんと判断して適切な時にやらなくてはせっかくの良さが活かせません。

これって意外とクリスチャンがやってしまいがちなことかと思います。「困ってる人に声をかけよう」とか「一緒に祈ろう」とか、それ自体はもちろん尊いことなんですけれど、そのタイミングをまちがってしまうケース。一方的に電話をかけてしまったり、訪問してしまったり。「あの人近ごろ教会に来ないからちょっと家までお見舞いしよう」というのはもちろん善意からくる行動ですけれど、相手からしたら突然お見舞いされても困るかもしれません。

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UnsplashSincerely Mediaが撮影した写真

僕の父が闘病している頃、教会の方が僕のいない時に父の病室を訪ねてくださったことがありまして、父はクリスチャンではないので困惑してしまいましたし、母もクリスチャンではないので「会ったこともないのにいきなり訪ねてくるなんて教会の人って無神経なの?」とちょっと怒ってしまいました。もちろん気にかけて訪ねてくださったことには心から感謝なのですが、違うタイミングで、たとえば僕の一緒にいる時に、訪ねてくださればもっと良い結果にもなっただろうに、と思いました。もったいなかったなーと。惜しかったなーと。

これは祈りや祝福に限ったことではありません、人のために「よかれ」と思ってやることも、タイミングを間違えば思ったような「よかれ」にならなかったり、かえって困ったことにもなってしまいます。せめて事前に相手に連絡をいれておくとか、そういうことをしておかないと「よかれ」は割とトラブルのもとになりやすいものです。いわゆるサプライズを仕掛けて、かえって相手を怒らせてしまうとか困らせてしまうなんてこともちょくちょくありますものね。僕は特に驚かされるのが嫌いなタチなのでサプライズが苦手で、本当にかなり困ってしまったこともありました。僕自身もまだ若かったころ、当時のガールフレンドにサプライズを仕掛けようとしてかえって困らせてしまって、そこからちょっと関係がギクシャクしてしまったこともありました。「喜ばせようとしてくれたのは分かったしありがたいけど、タイミングは考えて」と怒られました。

「よかれ」をするときこそ、相手の状況やタイミングに気をつけろということかと思います。「善は急げ」とも言いますけれど、「善だからこそちょっと待て」という心も、同時に持っていた方が良いのかと思います。今日もまた、自戒もこめつつ。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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