聖書が正しいから、それを語る自分も正しい?【聖書からよもやま話373】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、ヨブ記の36章です。よろしくどうぞ。

ヨブ記 36章4節

まことに、私の言い分は偽りではない。
知識の完全な方が、あなたのそばにおられるのだ。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

落ち込んでいるヨブに対して、正論のアドバイスを送りまくる3人の友人たち。さらに4人目のエリフという人まで加わって、ヨブに正論を投げつけまくります。正論はありがたい。アドバイスもありがたい。でも落ち込んでいる時にはやめてほしい・・・そんな本音、ありますよね。ヨブさんもきっと同じような気持ちになっていたことでしょう。「友達なら黙って側にいて背中でもさすってくれよ・・・」と思ったことでしょう。

そしてこの4人目のエリフ、正論に任せてずいぶんなことを口走ってます。「私の言い分は偽りではない」つまり「俺の言うことは正しいんだ!」と。そしてその根拠は「こっちには神様がついているんだから!」と。

これ、クリスチャンが陥りがちな罠のように思います。クリスチャンにもいます、こういう人。いえ、クリスチャンにこそいます、こういう人。つまり「私は聖書を根拠に話しているんだから、間違っていない!」と自分の意見の正当性を主張する人。はっきり申し上げまして、本当に困りますこういう人。
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確かに神様は絶対に正しい。そして聖書も絶対に正しい。しかし、それを受け取る人間の側は、読解力も理解力も決して完璧ではありません。いくら聖書を根拠に置いていたとしても、人間だもの、間違うことはあるんです。そのことを忘れて「聖書を根拠に語る自分の論は正しいのだ!」というのは、ちょっと論理の飛躍を起こしています。「ホップ・ステップ・ジャンプ」の「ステップ」が抜けている感じです。これはどちらかと言えばもはや、悪魔の罠に近いものかと思います。

神様や聖書に対して、熱心な人こそ陥りがちな罠。熱心になればなるほど、この穴は大きく広がります。神様や聖書のことを語る人にこそ仕掛けられる罠。語れば語るほど、この穴は深くなります。ですからこうして日々、聖書について語る僕にとっても(はしくれのはしくれではありますが)これは重々気をつけなければならない罠です。

世の中にもいますよね。「○○さんが言っているんだから間違いない!」とか「この本に書いてあったから間違いない!」とか「テレビのニュースで言っていたから間違いない!」と主張する人。困りますよね。でもその〇〇さんだって、その本の著者さんだって、テレビの製作陣だって人間ですから間違いますし、それを受ける人だって人間ですからね。結局はどんな「権威」を根拠にしようとも、人間は決して間違いの可能性からは逃れられないものなんです。

聖書を根拠に語るとしても、自分が人間である限り、間違いの可能性からは逃れられない。このことは常に胸に刻んでおかなければいけないな、と思います。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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