ワールド・ビジョンが報告書「COP26交渉決裂なら多くの子どもたちが飢餓に直面」

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョン(アンドリュー・モーリー総裁)が11月8日、報告書『Climate Change, Hunger and Children’s Futures(気候変動、飢餓と子どもたちの未来)』を発表した。数百万人のぜい弱な環境にある子どもたちがすでに飢きんのような状況に陥っていることを踏まえ、英国で開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)において気候変動対策の交渉を失敗させる余裕はないと警告している。

*報告書全文はこちら(英語)pdfアイコン

報告書の中でワールド・ビジョンは、気候変動と飢餓のリスクとの関連を調査し、栄養不良が子どもたちや地域社会におよぼす長期的な影響を示唆。また、すでに犠牲となっている子どもたちが世界の指導者に何を求めているのかを報告している。

総裁のアンドリュー・モーリー氏は、「世界中の子どもたちが、気候変動の壊滅的な影響を日々経験していると訴えている。COP26に参加する世界のリーダーたちは、子どもたちの警告をはっきりと耳にしなければならない」とした上で、「私たちは、水不足や繰り返し発生する嵐、洪水、干ばつによって人々の暮らしが破壊されたという悲痛な話を耳にする。こうした事態は、命を脅かす飢餓や栄養不良につながる可能性がある。子どもたちは学校を中退せざるを得ないことがしばしばあり、厳しい現状にあえぐ両親から労働や結婚を強いられたりしている」と指摘。

「現在、43カ国で4100万人が飢きんに瀕しており、数百万人の子どもたちが極度の飢餓のリスクにさらされている。私たちは、神様から与えられた地球の資源を守るために協力していく中で、気候変動の影響を受けた子どもたちの声に耳を傾け、彼らを解決策の中心的な部分に関与させることを、世界のリーダーたちに強く求める」と述べた。

報告書『Climate Change, Hunger and Children’s Futures(気候変動、飢餓と子どもたちの未来)』

極度の飢餓、餓死、飢きんに関して言えば、気候変動は、経済の不安定性(新型コロナウイルス感染症の影響によって悪化)とともに大きな要因であり、 また、紛争も最大の要因です。飢餓の危機に直面している人々の数は、過去5年間で、数十年ぶりに着実に増加。過去5年間の軌跡から想定すると、2030年までに3億人以上が食糧不安に直面するとワールド・ビジョンは予測する。

ワールド・ビジョンの外部エンゲージメント・食糧安全保障のディレクター、シェリ・アーノットによると、紛争、新型コロナウイルス感染症、気候変動が相互に作用し、新たに悪化する飢餓のホットスポットを生み出しており、貧困から逃れるために各家庭が得てきた利益を喪失させているという。

「これは〝子どもたちの危機〟。数百万人もの子どもたちが餓死する一歩手前に立たされ、飢きんの脅威に直面している。数百万人もの子どもたちが命を落とす可能性のある人道的飢餓を防ぐために、今すぐ緊急の支援活動が必要。21世紀に飢きんを発生させることはできない。飢きんは完全に防ぐことができるものなのだ」

「私たちは、COP26の指導者たちが、今この時こそが世界の最もぜい弱な子どもたちが〝生きるか死ぬか〟の明暗をわける瞬間であると認識することを願い求める」

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