WCC、ACTアライアンス、ルーテル世界連盟 生物多様性のための共同行動の呼びかけを発表

世界教会協議会(WCC)、ACTアライアンス、ルーテル世界連盟(LWF)は、「COP16における生物多様性と気候正義のための行動の呼びかけ」を発表した。COP16は、国連生物多様性条約第16回締約国会議のことで、10月21日から11月1日まで、南米コロンビア西部の中心都市であるカリで開かれている。

WCCとACTアライアンス、LWFによるこの呼びかけは、生物多様性の喪失が人間の行動によって引き起こされ、気候変動の影響によって悪化した、警戒すべきレベルに達していることを認識している。「私たちは、生態系を破壊している気候危機に直面して行動する緊急の必要性を理解しています」とその文書には書かれている。「公正な関係を促進するには、自然科学、社会科学、神学、および伝統的な知識と知恵の間の倫理的かつ建設的な対話が必要であると私たちは信じています」

生物多様性の保護は全ての国の政府にとって揺るぎない優先事項でなければならないと、その文書は促している。

「気候変動は生物多様性の喪失の主な原因の一つであるだけでなく、この危機を悪化させることから、地球温暖化を1.5°Cに抑えることは極めて重要です」とその文書には書かれている。「この目標を達成するには、温室効果ガス排出の主な原因の1つである化石燃料の使用を公正かつ公平に排除する必要があります」

この呼びかけでは、再生可能で持続可能なエネルギー源への移行も促している。

「さらに、自然と気候の危機に対処するために必要な資源を動員するには、特に先進国からの政治的リーダーシップと行動が必要です」「最後に、教会と信仰に基づく組織として、私たちは生物多様性条約の目標を推進し、権力関係の緊急な再構築、自然の権利の認識、そして、生物多様性の劣化を招き気候危機をさらに悪化させてきた現在の搾取主義的な経済モデルの変革を求めます」

呼びかけの全文は以下の通り。


COP16における生物多様性と気候正義のための行動の呼びかけ

カリでのCOP16 の一環として、教会や信仰に基づく組織は、生物多様性の損失が、搾取主義的な経済システムによって引き起こされ、気候変動の影響によって悪化した、警戒すべきレベルに達していることを認識しています。

ACTアライアンス、ルーテル世界連盟(LWF)、世界教会協議会(WCC)は、生物多様性と地球の健康を保護する上で重要な役割を果たすという私たちの責務を再確認します。私たちは、生態系を壊滅させている気候危機に直面して行動することが緊急に必要であることを理解しています。公正な関係を促進するには、自然科学、社会科学、神学、および伝統的な知識と知恵の間の倫理的かつ建設的な対話が必要であると考えています。それぞれの知識の分野は、人間であることの意味と、この世代と次の世代の両方のために、すべての生き物の平和と幸福を守るために私たちがどう行動すべきかについての集合的な考察に貢献します。

この点で、生物多様性の保護は政府にとって揺るぎない優先事項でなければならず、環境と気候の課題に取り組み、平和を促進する上でのその中心的な役割を強調しなければなりません。この取り組みは、人権に基づくアプローチを用いて、先住民族、若者、女性、少女の多様性、そして歴史的に疎外されてきた共同社会の権利の尊重と整合していなければなりません。これらの共同社会は、気候変動の影響を直接経験しているだけでなく、生物多様性の管理者でもあります。彼らのリーダーシップは、地球上の生命を保護するために不可欠です。私たちは、すべての利害関係者の効果的な参加を促進する包括的な対話を確実にするよう政府に求めます。このようにしてのみ、私たちの共通の家の幸福のための公正で持続可能な解決策を開発することができます。

地球温暖化を1.5度に抑えることは極めて重要です。気候変動は生物多様性の喪失の主な原因であるだけでなく、この危機を悪化させるからです。この目標を達成するには、温室効果ガス排出の主な原因の一つである化石燃料の使用を公正かつ公平に排除する必要があります。再生可能で持続可能なエネルギー源への移行と、資金の流れをパリ協定に合わせるための確固たる政策と世界的な取り組みとの組み合わせによってのみ、気候変動の影響を効果的に緩和し、生物多様性を保護することができます。

さらに、自然と気候の危機に対処するために必要な資源を動員するには、特に先進国からの政治的リーダーシップと行動が必要です。これら二つの地球環境危機に対処するための資金を増やすことは不可欠です。パリ協定と「地球規模の生物多様性枠組み」の下での約束を果たす能力は、資金の流れの提供と動員に直接依存しているのです。

さらに、すべての政府が国家生物多様性戦略および行動計画(NBSAP)を提示し、これらが孤立した文書ではなく、国別貢献(NDC)および国家適応計画(NAP)と効果的に結びついていることが不可欠です。このような相乗効果は、気候変動対策と生物多様性保護の両方に対する首尾一貫した効率的なアプローチに不可欠です。

最後に、教会および信仰に基づく組織として、私たちは生物多様性条約の目標を推進し、権力関係の緊急な再構築、自然の権利の認識、生物多様性の劣化を招き気候危機をさらに悪化させてきた現在の搾取主義的経済モデルの変革を求めています。私たちが目撃している破壊の根本原因に対処するには、新しい社会協定が不可欠です。

このCOP16は、私たち自身のため、地球を共有する他の種のため、そして将来の世代のために、自然との関係を回復するための具体的な行動につながる必要があります。今こそ私たちの出番です。今こそ私たちの時なのです。

*訳者注:英語原文では、上記の声明文の題と最後の段落が、太字で強調されている。

(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)

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