ミャンマーとタイの地震を受けWCC、CCAなどが祈りと支援呼び掛け

ミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震が3月28日午後に発生し、これまでにミャンマー第二の都市であるマンダレーや首都のネピドーを中心に1600人以上が死亡、3千人以上が負傷したと報じられている。タイの首都バンコクでも、建設中の高層ビルが倒壊したほか、仏塔、モスク、教会にも甚大な被害が及んでいる。

カトリック教会の国際援助組織である国際カリタス(菊地功総裁)は翌29日の記者発表資料で、「数十人が行方不明となっている。建物は崩壊し、道路は通行不能、通信回線はダウンしており、救助活動は危険なほど困難」とし、「最も被害が大きかった地域では、家族が家を失い、食料、水、医療を受けられずにいます。現地からの報告によると、何千人もの人々が路上で寝ることを余儀なくされ、危険で無防備な状態にあるため、医薬品、緊急避難所、衛生施設が緊急に必要とされています」と報告。

国際カリタスは、国内メンバーであるカルナ・ミッション・ソーシャル・ソリダリティー(KMSS)を通じてミャンマーに長く滞在しており、「一瞬一瞬が重要です。切実に必要としている人々に救命支援を届けるために、私たちと一緒に行動してください」と呼びかけている。

マンダレーのカトリック・サレジオ会共同体も地震により大きな被害を受けた。聖ヨハネ・パウロ2世聖堂は大きな被害を受け、正面と壁の一部が崩壊。聖体礼拝に参加していた信者2人が負傷し、ストリートチルドレンを収容する建物も天井や壁の一部などに大きな被害を受けたという。

現在のミャンマーは極めて不安定な政情下にある。アニサカンの長上エドワード・セイン・ミント神父は、「この災難の時期に、私たちの人々のためにお祈りをお願いします。復興への道には物質的な支援だけでなく、生活と信仰を再建するために互いに支え合う精神的な連帯も必要となるでしょう」と呼び掛けた。

世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレイ総幹事は地震の報を受け、愛する人を失った人々に哀悼の意を表し、ミャンマーとタイの人々のために祈りと支援を求めた。「家族や友人の中で愛する人を失ったすべての人々に祈りを捧げます」とピレイ氏は述べた。「また、緊急および長期の対応と復旧作業に携わるすべての人々に思いを寄せています」「私たちは、国内の長引く紛争によりすでに脆弱な立場にあるミャンマーの人々を特に心配し、心を痛めています」とピレイ氏。「エキュメニカルな群れの教会と専門機関に対し、人道支援のためにあらゆる祈りとあらゆる可能な支援手段を捧げるよう強く求めます」と訴えた。

これほどの規模の地震が陸上で発生したのは、5万人が死亡した2023年のトルコ地震が最後。

アジアキリスト教協議会(CCA)総幹事であるマシューズ・ジョージ・チュナカラ氏は公式サイトで、「この甚大な苦難の時期に、CCA加盟教会および協議会のすべてに、ミャンマー、タイ、および周辺地域の人々のために祈るよう呼びかけます。神の恵みが彼らを支え、救助活動が被災者に時宜を得た救済と希望をもたらしますように」と表明。

CCAによると、アジアで最も貧しい国の一つであるミャンマーは2021年の軍事クーデターが引き起こした内戦で揺れ動いている。インフラが脆弱なため、同国は自然災害に対処する準備が整っていない。国土の大部分は民兵によって支配されており、信頼できる情報を収集することは極めて困難で、特に地方の医療システムがひっ迫していることで、救援活動はさらに困難になっているという。

(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)

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