世界教会協議会(WCC)は20日、WCC第11回総会をドイツのカールスルーエで開催すると決めた。カールスルーエは、フランスと国境を接するドイツ南西部に位置する都市。総会は2021年9月5~19日に開かれる予定。
WCC総会は8年ごとに開催される。プログラムの見直しやWCC全体の方針決定、会長の選出、中央委員(次回総会までWCCの最高統治機関としての役割を果たす)の任命を行う。
第11回総会を同地で開催する招待状は2016年6月、ドイツ福音主義教会(EKD)から受けた。EKDに加盟する州教会やルーテル、改革派など、20の教派も総会開催に意欲を示し、ドイツの他のWCC加盟教会やドイツ教会協議会も総会開催をサポートしている。
ヨーロッパでのWCC総会の開催は、1968年、スウェーデンのウプサラでの第4回総会以来で、半世紀ぶりとなる。48年にオランダのアムステルダムで開かれた第1回総会と合わせると、ヨーロッパでは3度目。
WCC中央委員の西原廉太氏(立教学院副院長)によると、WCC中央委員会では16日、第11回総会開催地の2候補地、カールスルーエと南アフリカのケープタウンからプレゼンテーションを受けた。
総会開催地の条件は次のとおり。
①開催地の諸教会がエキュメニカルな精神を持ち、互いに協力し合って総会をホストできること。
②会議用に十分なスペース(約3000人以上)、礼拝用スペース、ホテル、交通、障がいを持つ人への配慮など、ロジスティクスな条件が整っていること。
③ビザやその他のロジスティクス関連について、総会運営に支障がないよう、行政をはじめ公的支援が得られること。
④その地で総会を開催する特別な意義と動機づけが明確であること。
カールスルーエは、第二次世界大戦以降、いかにドイツの教会が再建への道を歩み、冷戦後の分断を克服してきたかを世界の教会と分かち合いたいとする。一方、ケープタウンは、南アフリカでのアパルトヘイト撤廃闘争と、その後の「真理と和解」への取り組みの中で、南アフリカの諸教会が共に一致団結して世界の教会への感謝と連帯の思いを共有したい、というもの。
「2年前、ノルウェーのトロンハイムで開かれたWCC中央委員会で、アパルトヘイト政策支持のゆえにWCCから除名されていた南アフリカ・オランダ改革派教会(DRC)が、その懺悔(ざんげ)とともにWCCに正式復帰が認められ、壇上で南アフリカの教会代表と泣きながら抱き合った場面を忘れることはできません。ロジスティクス面では甲乙つけがたいですが、ドイツの弱点は、この間の移民政策の強化ゆえのビザ取得の難しさがあり、南アフリカの弱点は、どれだけ南アフリカの教会自身が財政的に担えるかなどにあります」と西原氏。
最終的に、WCC中央委員会による非公開投票で20日、カールスルーエに決定した。
世界教会協議会(The World Council of Churches 、略:WCC)は、世界的な超教派組織。1948年に設立された。スイスのジュネーヴに本部を持ち、現在、120カ国以上、5億5000万人以上のクリスチャンを代表して、350ものプロテスタント教派、正教会、聖公会、その他の教会が加盟している。ローマ・カトリック教会はWCCの正式なメンバーではないが、すべての会議にオブザーバーを派遣し、委員会の委員も任命している。