日本の教会でも、伝統的な賛美歌を使って礼拝している教会がある一方で、現代的なワーシップソングしか礼拝で使わない教会もある。米国の教会の賛美歌事情はどうなっているのだろうか。
ライフウェイ・リサーチ社(本社:米ナッシュビル)が1000人の米国の牧師に調査したところ、5人に4人(79%)が、礼拝で使うのは「ピアノの奏楽」と答え、また伝統的な賛美歌は今なお人気があった(69%)。
「いちばん心がけているのは、教会員のさまざまな音楽的な好みに対応することだ」と答えた牧師は15%にすぎない。「教会の音楽スタイルを明確にすることが必要だ」と言う牧師は3%。3分の1の牧師(33%)が、「どれも主要な問題ではない」と言う。
以前の調査でも、「もし現在行っている教会で音楽スタイルが変われば、別の教会を探す」と答えたのは礼拝出席者の5%だけで、教会を変わる理由では、牧師の教え(54%)や説教スタイル(19%)が変わることを大きく下回ることが分かった。
ライフウェイ礼拝部門のディレクター、マイク・ハーランドは言う。「伝統的なものと現代的なものとの距離は、20年前よりもずっと近い。ほとんどの教会で意見の相違がなくなり始めており、それはなんと素晴らしいことだろう」
また、ライフウェイ・リサーチ社のエグゼクティブ・ディレクター、スコット・マッコーネルは次のように述べる。「過去数十年にわたる教会音楽の変化に伴って、今日の礼拝と以前の礼拝の間には多くの類似点があります。印刷された本と同じように、伝統的な賛美歌は時代遅れではありません」
「自分の最大の課題は、教会員の音楽の好みに対応することだ」と答えたのは、礼拝出席者50人未満の教会の牧師が7%で、いちばん少ない。
賛美チームがリードする賛美(52%)や、聖歌隊がリードする賛美(33%)より、「賛美リーダーがリードする賛美(60%)を毎週行っている」と答える牧師のほうが多い。
また、約半数の教会では毎週、オルガニスト(47%)や賛美バンド(46%)が奉仕している。
「礼拝では伝統的な賛美歌を使う」と答えたのは、礼拝出席者が250人以上の教会(41%)より、50人未満の教会(85%)のほうが多く、2倍以上だ。一方、250人以上が出席する教会では、リズム・セクションと賛美バンドによる奏楽(75%)や、賛美チームがリードして賛美すること(79%)が毎週、礼拝で行われている。
賛美チーム(82%)と賛美バンドの奏楽(73%)によって礼拝がリードされる賛美が行われているのはペンテコステ派教会が最も多く、「毎週、伝統的な賛美歌を歌っている」と答えたところは最も少ない(32%)。
「礼拝で毎週、伝統的な賛美歌を歌っている」と答えたのは、ルーテル派の牧師が最も多い(88%)。地域による差だと、北東部(58%)と中西部(54%)の教会も、南部(43%)と西部(36%)の教会より、「伝統的な賛美歌を歌う」と答える傾向にある。
ハーランドは言う。「キリストのからだ(教会)と共に歌うことは、すべての弟子(クリスチャン)が気にかけなければならないことです。なぜなら、神から命じたことだからです」。そして次の聖句を示す。「キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。知恵を尽くして互いに教え、諭し合い、詩編と賛歌と霊的な歌により、感謝して心から神をほめたたえなさい」(コロサイ3:16)