石井十次賞に、キリスト教主義で児童養護に取り組む「鳥取こども学園」

児童福祉の分野で功績のあった個人・団体に贈られる第30回「石井十次賞」に、鳥取市で児童養護施設などを運営している社会福祉法人「鳥取こども学園」(藤野興一理事長)が選ばれた。主催する公益財団法人・石井十次顕彰会(萱嶋稔理事長)が25日、発表した。

(鳥取こども学園のフェイスブックより)

「鳥取こども学園」はキリスト教精神に基づいて創立され、基本理念は「愛」。115年の歴史を持つ。園名の彫られた石碑の下には「愛はいつまでも絶えることがない」(1コリント13:8、口語訳)という聖句が刻まれている。

1906(明治39)年、日露戦争で親を失った戦争孤児を養育する私立の鳥取孤児院として、鳥取教会(現在、日本基督教団)に連なる人々により創設された。院主となった尾崎信太郎は、鳥取教会創設期の中心的な信徒で、やはり同志社の卒業生。石井十次や北海道家庭学校創設者の留岡幸助の影響を受け、私財を投じて鳥取孤児院を創設した。ちなみに鳥取教会は、同志社の卒業生らの伝道によって1890年に創立され、石破茂自民党元幹事長の所属教会としても知られている。鳥取孤児院と同年に、教会付属の鳥取幼稚園(現在、愛真幼稚園)も始められた。

1949年に「鳥取こども学園」と改称。子どもを守るための法律である「児童福祉法」(1947年公布)がまだ制定されていない時代から、家庭で養育できない子どもたちを家庭に代わって養育・支援するためのさまざまな取り組みを行ってきた。

現在は、保護者や家庭の事情により、家庭で養育することが難しい子どもを受け入れている。また、退所した子どもたちの支援活動や、若者の社会的自立を支援する地域若者サポートステーション活動など、地域福祉の拠点にもなっている。施設として、児童養護施設「鳥取こども学園」、乳児院「鳥取こども学園乳児部」、児童心理治療施設「鳥取こども学園希望館」、子どもや家族に関する相談を受ける「子ども家庭支援センター希望館」、保育所「鳥取みどり園」、子どもの心の専門(児童精神科)診療所「こころの発達クリニック」、ニートやひきこもりなど働くことで悩んでいる若者の就業までを援助する「地域若者サポートステーション事業」、社会自立のための支援を行う「自立援助ホーム」などを運営する。

今回は、全国の児童養護施設に先駆けて少人数の生活集団で暮らす小舎制へ移行したことや、高校全入運動を進めてきたこと、退所後の若者支援など、社会的養護が必要な子どもたちの権利と最善の利益を追求する取り組みが評価された。山陰地方の烏取、島根両県での受賞は初めて。

同賞は、キリスト教信仰に根ざした岡山孤児院を創設して生涯を孤児救済にささげた「児童福祉の父」、石井十次(1865~1914年)の精神の実践を継承し発展させることを目的として1992年に始められた。石井十次賞は、今回を含めてこれまでに21団体と9人が受賞しており、昨年の第29回受賞者はタレントでユニセフ親善大使の黒柳徹子さん。北海道家庭学校(第1回)や沖縄にある愛隣園(第9回)、長崎の希望の灯学園(第14回)、仙台キリスト教育児院(第15回)、大阪の救世軍希望館(第20回)などキリスト教主義の施設や、横須賀基督教社会館館長の阿部志郎さん(第28回)などクリスチャンの受賞者も多い。

石井十次は、岡山医学校(現在の岡山大学医学部)の医学生として研修中の19歳のとき、岡山基督教会(現在、日本基督教団・岡山教会)で洗礼を受けた。生活に困窮する母親から子どもを預かったことをきっかけに孤児教育会(後の岡山孤児院)を設立。その後、預かる子どもの数が増えてきた頃、英国で1万人を超える孤児を救済したジョージ・ミューラーが来日して講演した記事を読み、日本のミューラーになろうと、孤児救済に生涯を捧げることを決意したという。

贈呈式は4月14日午後1時半から、宮崎県児湯郡高鍋町のたかしんホールで開かれる。

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