カンバーランド長老キリスト教会日本中会は7月29日、神学・社会委員会委員長の荒瀬牧彦氏による名義で、6月27日に執行された白石隆浩さん(34歳)に対する死刑を受けて抗議と要望を石破茂首相、および鈴木馨祐法相宛てに送付した。
要望では、人間の命を奪う権利は誰にもなく、「犯罪者の命を奪うことは、犯罪者が人の命を奪った行為の反復であり、これを認めれば、私たちは次の世代に『命を大切に』と語る資格を失うことにな」るとの懸念を表明。
死刑は犯罪の抑止力にならず、暴力の精神を助長し、冤罪の可能性や関係者への精神的負担も問題視されていることから、加害者が「自分の犯した罪を認め、反省し、真の謝罪をし、赦しを求める機会を犯罪者に与えること、そして、犯罪者の更生と改心へとつながる死刑以外の懲罰の方法を見出すこと」の必要性を訴え、今回の死刑執行に抗議し、今後、死刑執行を行わないよう求めている。
全文は以下の通り。
内閣総理大臣 石破 茂 殿
法務大臣 鈴木馨祐 殿
死刑執行に対する抗議および死刑執行停止の要望
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
神学・社会委員会 委員長 荒瀬牧彦
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。御子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」(聖書:ヨハネによる福音書3章16節)
私たちは、6月27日に執行された白石隆浩死刑囚の死刑執行について、強く抗議し、今後死刑を執行しないように要望します。
私たちは、かけがえのない人間の命を奪う権利は誰にもない、と確信しています。犯罪者の命を奪うことは、犯罪者が人の命を奪った行為の反復であり、これを認めれば、私たちは次の世代に「命を大切に」と語る資格を失うことになります。
また、私たちは、「死刑は何も解決しない」と考えます。「死をもって報いる」死刑は社会に暴力の精神を育てるだけであり、犯罪の抑止には決して繋がりません。死刑は教育刑としての刑罰に矛盾し、また冤罪の可能性や、裁判員や執行人たちに一生の心の傷を残すことからも、認めることのできないものです。
死刑で遺族の心を真に癒すことはできません。私たちは、暴力の連鎖を断ち切り、教育刑の徹底によって、加害者と被害者の間に、真の和解がもたらされることを望みます。私たちはあくまでも、自分の犯した罪を認め、反省し、真の謝罪をし、赦しを求める機会を犯罪者に与えること、そして、犯罪者の更生と改心へとつながる死刑以外の懲罰の方法を見出すことを求めます。
以上のことから、今回の死刑執行に強く抗議し、今後、死刑執行を行わないように、強く要望します。