新宗連青年会 第60回戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典を開催 参列者400人が非戦・平和の祈り

新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会)の主催による「第60回戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典」が11月30日、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)で開催された。加盟教団の会員・信徒および一般人約4千人が参列した。また、来賓には野田佳彦衆議院議員など国会議員らも招待され、戦没者に献花をおこなった。式典はインターネットによりライブ配信された。

今回60回目を迎える同式典は、多数の宗教団体が、互いの教えや信じるものの違いを超えて結成された新宗連青年会が、戦争犠牲者に思いを馳(は)せ、絶対非戦と世界平和の実現を祈るため、1962年より行われている。これでま終戦記念前夜の8月14日に開催されてきたが、終戦80年の節目の今年、過去だけにとらわれず、未来の平和実現に向けて祈りと行動を深めていくという強い思いから、新宗連青年会の結成月である11月に式典を移し、それに伴い通称を「青年平和式典」とした。

同式典では、主催者を代表し、新宗連青年会委員長の宮本泰克(ひろなり)氏(妙智會教団代表役員)があいさつ。同式典を11月に変更した意義を説明し、「先の大戦とその犠牲者を忘れることなく、慰霊を続けていくことは、これからも私たちの大切な責務です」と力を込め、同式典に込められた思いを軸として今後も真摯に取り組みつつ、新たな通称「青年平和式典」にふさわしい内容を充実させていきたいと語った。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕理事長からの青年に向けてのメッセージに続いて、加盟教団のうち15教団の代表者による教団別礼拝が教団ごとに行われた。最後にはそれぞれの礼拝様式にしたがって、一斉に祈りがささげられた。

次いで、思親会青年部の松井勇奎(ゆうき)氏が「平和へのメッセージ」を述べた。その中で、平和は大きな理想ではなく、日々の中に生まれる小さな優しさの積み重ねだと話し、「困っている人に手を差しのべる。違う考えに耳を傾ける。そのような行いが争いの芽を小さくしていく」と語った。続けて、自分たちが戦争体験者から直接話を聞く最後の世代であることを強調し、次世代へ平和へのバトンを正く手渡し、その歩みを絶やさないことを誓った。

参列者全員で戦没者に黙祷した後、新日本宗教団体連合会を代表して理事長の石倉寿一(としかず)氏(大慧會教団会長)があいさつに立った。石倉氏は、戦争や紛争がさまざまな「生きづらさ」を一挙に増幅させると訴える。「その現実にあって、私たち信仰者は神仏から託された『他者のために働く』という使命を自覚し、『平和を希求し、祈り、行動する心』を持つ者を育てていかなければならない」と伝え、「青年たちが希望ある平和な未来を創造していけるよう全力で応援していきたい」と締めくくった。

この記事もおすすめ